よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


2025年7月3日 エムポックス感染の拡大防止へ新たな指標 (2 ページ)

公開元URL https://www.jihs.go.jp/content4/pressrelease/2025/010/20250703_01.pdf
出典情報 国立健康危機管理研究機構 プレスリリース(7/3)《名古屋大学大学院、国立健康危機管理研究機構ほか》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

Press Release

図.発症時の血中ウイルス量がエムポックスの症状進行を予測する指標となる
【研究背景と内容】
2022 年 5 月以降に、世界的な規模で発生した新しいクレード(クレード IIb)のエム
ポックスが欧米諸国を中心に国際的流行へと拡大し、「国際的に懸念される公衆衛生上の
緊急事態(PHEIC)」に該当するとして世界保健機関(WHO)より宣言されました。クレー
ド IIb の世界的な患者数は 2022 年 8 月に減少に転じたものの、2023 年年末から、
コンゴ民主共和国ではより重症率の高いことが報告されている別クレード(クレード Ia お
よびクレード Ib)のエムポックス感染者数が増加し、その後も近隣国へと流行の拡大が継
続しています。この状況を受け、WHO は 2024 年 8 月 14 日に 2 度目の PHEIC を宣
言し、国際的な流行リスクに対して注意喚起を行っています。なお、2025 年 6 月現在も
感染拡大が続いており、PHEIC は取り下げられておりません。
感染症対策を実施する上で、皮膚病変は重要な客観指標となります。感染者から他者
への感染は主に皮膚やその他の病変との直接接触で生じるため、そうした接触を病変が
完治する(痂皮[かひ]が脱落する状態)まで控えることが推奨されています。しかしなが
ら、エムポックス感染者の皮膚病変の数や状態は時間と共に変化し、個人間でも顕著な違
いがあることより、これら病変のダイナミクスを特徴づけることは容易ではありませんで
した。皮膚病変のダイナミクスを個人レベルで定量的に予測できれば、個別化された治療
と効果的な介入を決定するための根拠となります。
本研究では、2007-2011 年にコンゴ民主共和国でエムポックス(クレード Ia)に感染
した患者から得られた、状態ごとの病変数、さまざまな検体から得られたウイルス量、そ
の他の各種検査値を含む大規模な縦断的データセットを対象に、数理モデルと人工知能
を用いた分析を行いました。その結果、感染者の皮膚病変における症状進行の程度が、異
なる2つのグループに層別化できることを明らかにしました。さらに、個人レベルのウイル
ス量を含むさまざまな検査値を用いて、これら2グループの分類予測モデルを構築しまし
た。その結果、病変発症時の血中ウイルス量がグループを予測する指標であること、グ
ループの分類を決定づける血中ウイルス量の閾値(いきち)が 104.6(genomes/mL)で

2 / 6