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2025年6月20日 熱中症で死なせないために エアコンを使いこなせない人を取り残さないように (2 ページ)

公開元URL https://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/PR/2025/release_20250620.pdf
出典情報 東京大学大学院医学系研究科 プレスリリース(6/20)《東京大学大学院》
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3 結果概要
東京大学大学院医学系研究科の橋本英樹教授、東京都監察医務院の林紀乃院長、浦邉朱鞠監
察医の共同研究**では、2013-2023 年の間に東京都 23 区において熱中症で亡くなった方々
(1,447 症例)の分析を行っている。熱中症を防ぐうえでエアコンの適切な使用が必要である
ということは、ニュース・メディアでも取り上げられているが、実際どのような事例がある
か、どのような対応ができるのか、発表する。
**東京都監察医務院倫理委員会研究番号 2023-6「東京 23 区における熱中症死亡に関わる背
景条件の解析」(研究代表者 浦邉朱鞠)
**東京大学医学部倫理委員会審査番号 2024321NI「東京 23 区における熱中症死亡に関わる
背景条件の解析」(研究代表者 橋本英樹)
4 発表内容
① 研究の背景
2023 年 6~8 月は世界平均気温が最高を記録し、史上最も暑い夏とされた。日本も例外で
はなく、東京都心をはじめ各地で猛暑日日数や連続真夏日日数が更新された。熱中症研究は世
界各地で取り組まれており、熱中症患者数、熱中症死亡者数、気象条件、人口、都市化指数、
地区のエアコン普及率などをもとに発生要因について検討されている。しかしながら、その多
くは熱中症患者、熱中症死亡者以外を含む地方自治体が公表する統計データを使用しており、
実際に熱中症を生じた事例に限定して背景情報を検討した研究はほとんどみられない。本研究
は熱中症死亡者の背景データと気象観測データを用いて、熱中症発生に関与する生活様式、気
象状況をより詳細に解析することで、熱中症発生リスクをより具体的にすることを目的とす
る。
②研究内容
【データソース】
東京都監察医務院症例データベースにおいて、2013 年 1 月から 2023 年 9 月までの間に
記載されていた症例のうち、死因統計として ICD10 コード(国際死因分類)が T67(熱お
よび光線の作用による死因)のもの 1,447 症例を抽出した。
【データ項目】
検案及び解剖資料をベースに、発見日時、推定死亡日時、発見時の状況として発見場所
(屋内外)、住居形態、家族構成(一人暮らしか否かなど)、経済状況(電気・ガス・水道
といったライフラインが切られていなかったなど含む)、エアコンの有無や扇風機の使用状
況、室温、併存症の有無(残された薬手帳などから推測する場合も含む)など、取得できた
限りの情報として報告されたもの。ただし、各項目の報告は義務化・標準化されているわけ
ではないため、過少報告の可能性がある。
【分析手法】
今回発表する範囲は記述統計のみ。現在、公開気象データ(ERA5-LAND)と結合のう
え、気象条件と死亡リスクの関連について Case-crossover design により、分析が進行して
いる。
【分析結果】
死亡場所は、屋内が 1,319 件(うち 13 件はサウナで発生)、屋外が 118 件、その他が
10 件(年齢層別・性別内訳は表 1 のとおり)だった。死亡発生時期は、サウナでの発生例