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2025年6⽉11⽇ 難病「中大動脈症候群」の原因遺伝子を世界で初めて特定 (2 ページ)

公開元URL https://www.isct.ac.jp/plugins/cms/component_download_file.php?type=2&pageId=&contentsId=1&contentsDataId=1545&prevId=&key=5ccd5d5a5506de93327b3366b731c540.pdf&fileName=sciencetokyopr20250611-takagi
出典情報 東京科学大学 プレスリリース(6/11)《東京科学大学》
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図 ⾎管狭窄の表現型と責任遺伝⼦、その病態の関連を⽰した模式図

●背景
中⼤動脈症候群は、⼩児および若年成⼈に発症する極めて稀な疾患であり、全⾝の中
動脈および⼤動脈が狭窄することによって、重要な臓器への⾎流が制限される深刻な病
態を呈します。⼤動脈狭窄症全体の 0.5〜2%を占めるとされており、腎動脈や内臓動脈
への病変により、⾼⾎圧や脳卒中、腎機能障害などの重篤な合併症を引き起こします。
また、モヤモヤ病との合併例も報告されていますが、その病態や責任遺伝⼦について
は⻑らく不明のままでした。
RING フィンガータンパク 213(RNF213)遺伝⼦は、これまでモヤモヤ病や肺動脈
性⾼⾎圧症との関連が指摘されてきましたが、そのバリアント(遺伝⼦配列の変化)が
疾患の発症にどのように関与しているかについては、これまで解明されていませんでし
た。
●研究成果
本研究では、中⼤動脈症候群の患者 2 名に対して全エクソン解析を⾏い、共通する変
異として RNF213 遺伝⼦のバリアントを同定しました。さらに、患者と同⼀のバリアン
トを持つノックインマウスを作製し、その病態を解析した結果、バリアントを持つマウ
スは出⽣直後に死亡しました。死因は、肺の構造異常と重度の炎症であることが判明し
ました。
これらの異常は、炎症カスケードの活性化および NF-κB シグナル経路を介した炎症
反応の亢進によって引き起こされており、RNF213 のバリアントが単球やマクロファー
ジの過剰な活性化を促すことが⽰唆されました。