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資料1:提言本文「持続的な社会の発展のための財政規律〜将来世代にツケを回さず、有事にも備える〜」 (4 ページ)
出典
公開元URL | https://www.reiwarincho.jp/news/2025/20250610_001.html |
出典情報 | 提言「持続的な社会の発展のための財政規律」(6/10)《令和国民会議》 |
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しかし、昨年 10 月の総選挙によって成立した少数与党体制のもと、2025 年度予算の編
成は各党がそれぞれ掲げた政策の実現を目指して競い合う構図となっています。現状提案
されている様々な施策についても必要性の高いものは検討を進めるべきですが、その際に、
将来世代を見据えた持続性確保のための財源論や全体最適の視点を欠落させてはなりま
せん。
人口減少の中、恒常化する財政拡張を国民が支え続けることはあまりに非現実的です。
財政拡張が定常化すれば、無駄な支出もまた拡大しやすくなってしまいます。政府は具体
的な歳出改革方針を示すとともに、以下の歳出ルールやルールを遵守するための制度を導
入すべきです。
① 「ペイ・アズ・ユー・ゴー」6を原則とし、新たに恒久的な支出や減税を伴う施策を導入す
る際には、財源を同時に決定する。
② 中期財政フレームを遵守できなかった場合は、2.④のような事態を除き、翌年度に是
正措置を講ずる。
なお、社会保障費や地方財政に関する現在の「歳出の目安」については、歳出の無駄を
削減し膨張を抑える規律付けとなるよう、今後具体的な歳出改革方針を示す際にアップデ
ートすべきでしょう7。
おわりに
世界が大きく変わる中、日本も様々な困難を乗り越え新たな社会・経済の発展を目指す
べき段階に入っています。国民一人ひとりの幸せ(well-being)を持続的に向上させていくた
めには、単に財政支出の規模を拡大するのではなく、民間の活力を引き出し、より社会に付
加価値を生み出すような支出に重点化すること、そして、政策の評価を徹底し、限られた財
政資源を最適な形で配分するとともに、不測の事態に備えるために財政余力を確保すること
が重要です。
そのためには、非効率な歳出を抑制するとともに、世代間の受益と負担の格差を拡大さ
せないためにも規律ある財政運営を行う必要があります。その上で、公的債務残高比率をう
まくコントロールすることによって、いつ来るかわからない有事においても必要な歳出を賄う
ための国債発行を円滑に行えるよう、財政余力とともに国の信用力も高めること、つまりは、
主要国に対して著しく劣位にある我が国の格付けの引き上げを目指すべきです。本提言が、
新しい財政規律の考え方についての議論のきっかけとなることを願います。
以 上
6
新規の施策等によって義務的経費の増加や減税を行う場合には、同一年度内に他の義務的経費の削減や増税な
どの措置を行わなければならないという原則。1990 年代にブッシュ政権下の米国で導入されました。
7
地方財政の支出の多くが社会保障関係であることには注意を要します。歳出の目安としては、社会保障や地方
財政のこれらの経費の伸びを高齢化に伴う自然増の範囲、かつ、雇用者所得の伸びの範囲に収めることなどが考
えられます。
4
成は各党がそれぞれ掲げた政策の実現を目指して競い合う構図となっています。現状提案
されている様々な施策についても必要性の高いものは検討を進めるべきですが、その際に、
将来世代を見据えた持続性確保のための財源論や全体最適の視点を欠落させてはなりま
せん。
人口減少の中、恒常化する財政拡張を国民が支え続けることはあまりに非現実的です。
財政拡張が定常化すれば、無駄な支出もまた拡大しやすくなってしまいます。政府は具体
的な歳出改革方針を示すとともに、以下の歳出ルールやルールを遵守するための制度を導
入すべきです。
① 「ペイ・アズ・ユー・ゴー」6を原則とし、新たに恒久的な支出や減税を伴う施策を導入す
る際には、財源を同時に決定する。
② 中期財政フレームを遵守できなかった場合は、2.④のような事態を除き、翌年度に是
正措置を講ずる。
なお、社会保障費や地方財政に関する現在の「歳出の目安」については、歳出の無駄を
削減し膨張を抑える規律付けとなるよう、今後具体的な歳出改革方針を示す際にアップデ
ートすべきでしょう7。
おわりに
世界が大きく変わる中、日本も様々な困難を乗り越え新たな社会・経済の発展を目指す
べき段階に入っています。国民一人ひとりの幸せ(well-being)を持続的に向上させていくた
めには、単に財政支出の規模を拡大するのではなく、民間の活力を引き出し、より社会に付
加価値を生み出すような支出に重点化すること、そして、政策の評価を徹底し、限られた財
政資源を最適な形で配分するとともに、不測の事態に備えるために財政余力を確保すること
が重要です。
そのためには、非効率な歳出を抑制するとともに、世代間の受益と負担の格差を拡大さ
せないためにも規律ある財政運営を行う必要があります。その上で、公的債務残高比率をう
まくコントロールすることによって、いつ来るかわからない有事においても必要な歳出を賄う
ための国債発行を円滑に行えるよう、財政余力とともに国の信用力も高めること、つまりは、
主要国に対して著しく劣位にある我が国の格付けの引き上げを目指すべきです。本提言が、
新しい財政規律の考え方についての議論のきっかけとなることを願います。
以 上
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新規の施策等によって義務的経費の増加や減税を行う場合には、同一年度内に他の義務的経費の削減や増税な
どの措置を行わなければならないという原則。1990 年代にブッシュ政権下の米国で導入されました。
7
地方財政の支出の多くが社会保障関係であることには注意を要します。歳出の目安としては、社会保障や地方
財政のこれらの経費の伸びを高齢化に伴う自然増の範囲、かつ、雇用者所得の伸びの範囲に収めることなどが考
えられます。
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