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鉄が肝臓を傷つける-新たな細胞死フェロトーシスの正体とは (2 ページ)

公開元URL https://www.isct.ac.jp/plugins/cms/component_download_file.php?type=2&pageId=&contentsId=1&contentsDataId=1590&prevId=&key=33c418f9d6baec6d5913997f858f0091.pdf&fileName=sciencetokyopr20250530-moroishi
出典情報 鉄が肝臓を傷つける-新たな細胞死フェロトーシスの正体とは(5/30)《東京科学大学、熊本大学》
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図 1 研究の概要

●背景
鉄は健康を保つために⽋かせないミネラルで、成⼈の体内にはおよそ鉄釘 1 本分(約
3〜5 グラム)の鉄が存在しています。鉄は、⾎液中で酸素を運ぶ役割に加えて、エネル
ギーの産⽣や細胞の働きにも関与しています。鉄が不⾜すると貧⾎を引き起こしますが、
逆に過剰になると体に有害な活性酸素を⽣み出し、がんや神経の病気の原因になること
があります。このため、体内では鉄の量が厳密にコントロールされています。
特に肝臓は、体内の鉄を貯蔵する中⼼的な臓器であり、鉄代謝の異常が肝機能に与え
る影響は⼤きいと考えられています。これまで、過剰な鉄が細胞に毒性をもたらすメカ
ニズムは明確ではありませんでしたが、近年、細胞内の鉄過剰による脂質の過酸化が誘
導する新しい細胞死の概念としてフェロトーシスが発⾒され[参考⽂献 2]、鉄毒性の分
⼦機構が徐々に明らかになってきました。
これまでの研究では、フェロトーシスが肝炎や肝臓の線維化、肝臓がんなど、さまざ
まな肝疾患の発症や進展に関与する可能性が⽰唆されていましたが、肝臓における鉄の
蓄積とフェロトーシスの関係や、フェロトーシスが具体的にどのように病気に関与する
のかについては、⼗分に解明されていませんでした。
また、フェロトーシスは肝臓がんの⼿術や肝移植の際に起こる肝虚⾎再灌流傷害(⽤
語 4)とも関係していると考えられており、より詳しい仕組みの解明が求められていま
した。
●研究成果
研究チームはまず、鉄を調節する重要なタンパク質「FBXL5」を⽋損したマウスを⽤