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○先進医療会議からの報告について 総-1 (4 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00142.html
出典情報 中央社会保険医療協議会 総会(第518回  3/23)《厚生労働省》
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様式第5号

先進医療の内容 (概要)
先進医療の名称:子宮内膜刺激胚移植法:Stimulation of Endometrium –Embryo Transfer;
(SEET 法)
適応症:胚移植を必要とする不妊症
内容:
(先進性)
生殖補助医療における反復不成功例のなかに、形態良好胚を移植しているにもかかわらず妊
娠にいたらない着床不全症例が存在する。着床不全の原因のうち、子宮および卵管側の器質的
要因として子宮粘膜下筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮内膜症、子宮奇形、卵管水腫などが挙げ
られる。一方、機能的要因として性ステロイドホルモンや胚因子の刺激に対する子宮内膜の反
応異常に起因する胚受容能の異常がなど考えられている。これらのうち胚由来因子の欠如また
は減少による子宮内膜の胚受容能の低下に起因する着床率低下を改善する方法として、1999 年
に滋賀医科大学にて二段階胚移植が考案された。二段階胚移植は着床周辺期の胚と子宮内膜は
シグナル交換(クロストーク)をしており、胚は着床に向けて子宮内膜の局所環境を修飾して
いることを示したマウスを用いた基礎研究に基づいている。二段階胚移植法では day2 に初期胚
を移植し、残りの胚は培養を継続し、引き続き day5 に胚盤胞を移植する。初期胚にはクロスト
ークにより子宮内膜の胚受容能を高める働きを期待し、継続培養によって選択された胚盤胞が
より高い確率で着床することを期待している。以来、特に反復 ART 不成功例に対する移植方法
として他施設にても用いられ良好な成績を挙げており、誌上報告もなされている。しかしなが
ら、二段階胚移植法は少なくとも胚を2個移植するため多胎の問題を回避することはできなか
った。近年、多胎予防を目的として単一胚移植が推奨されるようになってきた。単一胚移植を
行う場合は、初期胚移植か胚盤胞移植のいずれかを行うことになるが、これらの移植方法では
二段階胚移植法のように胚と子宮内膜の相互作用を利用することができない。この問題を克服
するために新たに考案した方法が子宮内膜刺激胚移植法:Stimulation of Endometrium –
Embryo Transfer; (SEET)である。
近年、胚培養液上清には子宮内膜胚受容能促進に関与する胚由来因子が存在することが報告
されている。そこで、胚培養液上清を子宮腔内に注入することにより子宮内膜が刺激を受け、
胚受容に適した環境に修飾される可能性があると考え、胚盤胞移植(BT)に先立ち胚培養液上
清を子宮腔内に注入する方法を考案し、これを子宮内膜刺激胚移植法:Stimulation of
Endometrium –Embryo Transfer; SEET と命名した。
胚盤胞移植は継続培養により移植胚の選択が容易になることや、胚発生と子宮内膜が同調す
ることなどにより、高い着床率を得ることができるとされる移植方法である。しかしながら、
その妊娠率は 50%前後にとどまっている。胚盤胞移植における着床不全の機能的原因として、
移植胚盤胞の子宮内での発生停止や透明帯から孵化できないなどの胚に起因する要因と、子宮
環境の不全による要因などが考えられる。
着床に適切な子宮内膜の分化、すなわち implantation window は性ステロイドホルモンの制
御のみならず、胚と子宮内膜のクロストークによって導き出されると考えられており、クロス

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