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別紙3○先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00058.html
出典情報 先進医療会議(第122回 6/8)《厚生労働省》
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先進医療会議の事前照会事項に対する回答1

先進医療技術名: 切除不能大腸癌肝転移に対する生体肝移植術
2022 年 5月 26 日
所属・氏名:京都大学肝胆膵・移植外科 波多野悦朗

(研究実施計画書及び実施届出書について)
1.大腸癌肝転移に対する移植のコンセプトは問題なく、今後移植医療としては進むべき方向性であ
ると考えます。さらに移植の手術手技や管理はある程度確立されており問題はないと思います。一
方、大腸癌肝転移に対する肝移植は海外でのエビデンスが基本となり、これらは脳死を Donor して
いると理解しています。本邦では生体肝移植となるため、本治療を本当に必要な症例に対して移植
を行う為にも保険適応を見据えての適応の厳格化が必要であると考えます。つきましては、以下(1)
~(4)の観点について、ご説明願います。
(1)Conversion 症例では腫瘍マーカーが上昇しているものについては、予後は悪いとの報告もされて
おります。CEA のエビデンスがないとはいえ、腫瘍マーカーの上昇症例に適応外基準を設けなくて
もよいでしょうか?
【回答】
貴重なご指摘をいただきありがとうございます。大腸癌肝転移に対する肝切除術において、腫瘍マーカ
ー(CEA)が上昇傾向を示す症例については、上昇傾向を示さない症例と比較して予後が不良であるこ
とを当診療科からも報告しております(Hori, et.al, Ann Surg Oncol. 2022)。しかし、本臨床研究では、肝
臓を「肝切除」ではなく「全摘出」することにより予後を改善できると考えておりますので、転移巣が肝内
に限局している場合に限れば、腫瘍マーカーの動向に関わらず予後の改善を期待できると考えておりま
す。

(2)肺転移に関しては3個以内で6ヶ月の再発がない…とありますが肝・肺転移が同時にあった際
に、肝移植の治療経過中に肺の治療が優先されないかが危惧されます。こちらの観点についてご
説明願います。
【回答】
ご指摘いただきありがとうございます。肝臓と肺に同時性の転移を認めた場合、通常は全身化学療法を
行い、化学療法に対する反応が良好の場合に、局所の治療を考慮します。しかし近年、大腸癌肝転移
において肝転移巣が予後を規定する可能性が高い場合に、まず肝切除術を行った後に化学療法などを
施行する治療法が広まりつつあります。ご指摘のように、肝臓と肺に同時に転移を認めた場合に、最初
に肺転移の治療を行うことは現時点では一般的とは言えませんが、近年の大腸癌肝転移に対する治療
法の進歩を鑑みると、肺転移の治療を先行する場合もあることを可能性として否定できないと考えます。
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