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参考資料7 「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方」見直し等に係る報告(第三次)~研究用新規胚の作成を伴うゲノム編集技術等の利用について~(令和4年2月1日総合科学技術・イノベーション会議) (8 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29769.html
出典情報 ヒト受精胚等へのゲノム編集技術等を用いる研究に関する合同会議(再設置第4回 12/28)《厚生労働省》《文部科学省》
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検討内容を踏まえた考察
以上の検討を踏まえると、ゲノム編集技術等を用いた遺伝性・先天性疾
患に関する基礎的研究には、研究用新規胚を作成して行う科学的合理性が
認められる。
(2)社会的妥当性について


ヒアリング、議論等の主な内容
遺伝性・先天性疾患は、治療法がない又は確立されていないものも少な
くないため、病態解明、治療法の開発等に対する期待について、医療関係
者、研究者、患者団体等から意見があった。一方で、特に治療法の開発に
ついては、出生前からの介入も想定されることから、多様性への影響等に
つながるのではないかという懸念に関する指摘があった。こうした懸念に
ついては、臨床利用に関する議論の整理における見解5も踏まえ、法的な枠
組みを含めた実効性のある規制によって対応すべきであるとの議論があっ
た。さらに、臨床利用以外の基礎的研究を行う場合であっても、Ⅰ.3.
に述べたとおり、疾患研究等が多様性を失わせること等を意図して行われ
ることはないと考えられるが、当該懸念が生じることに繋がらないよう、
当該研究の意義や倫理的な論点などについて国民が議論に参画できる場を
設けるなど、国民的な議論の確保に資する取組を継続的に行う必要がある
との指摘があった。
また、研究用新規胚による研究を実施する際には、研究を目的として配
偶子を受精させてヒト受精胚を作成することとなる。すなわち、研究のた
めに配偶子の提供を受ける必要があり、特に卵子の提供について、インフ
ォームド・コンセントの取得の方法に配慮が必要である。こうした観点か
ら、研究用新規胚の作成・利用は、生殖補助医療の目的で作成されたヒト
受精胚のうち、当該目的で胎内に移植しないことが決定したものである余
剰胚の利用とは異なる側面を持つと考えるべきとの意見があった。一方、
研究用新規胚と余剰胚は、いずれも尊重されるべき胚としての尊厳は同等
であって、差を付けることは妥当とは言いにくいのではないかとの意見も
あった。
こうした配偶子の提供を受ける場面におけるインフォームド・コンセン
トについては、これまでに、ヒト受精胚の作成を行う生殖補助医療研究の
適正な実施を図る観点でART指針及び同指針ガイダンスが策定、運用さ
れている。ART指針においては、インフォームド・コンセントに係る配
慮事項として、提供者が心理的圧力を受けることなく十分な理解の下で自
由な意思決定を行うことができるよう、必要な環境の確保に努めることな
どを規定しており、卵子提供者への配慮も踏まえた基礎的研究の適正な実
施を図っている。

5

「臨床利用に関する議論の整理」によると、「個々のヒト受精胚に対する遺伝的改変操
作が、人類集団がもつゲノム及び遺伝子の構成又は機能、その多様性に及ぼす影響につ
いても現時点では不明である」としている。
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