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地域医療連携を加速させるための患者逆紹介選好尺度(PQR-19)を開発 (2 ページ)
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公開元URL | https://www.yokohama-cu.ac.jp/res-portal/news/gjok7g0000001uvj-att/20250819yoshimi.pdf |
出典情報 | 地域医療連携を加速させるための患者逆紹介選好尺度(PQR-19)を開発(8/19)《横浜市立大学》 |
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Press Release
研究背景
地域医療連携とは、病院と診療所がそれぞれの役割を分担して協力し、地域全体で効率
的で効果的な医療を提供することです。わが国で現在求められている医療の形は、以前の一
つの病院内で治療が完結する「病院完結型」から地域全体で患者を支える「地域完結型」に
変化しています[1]。
「地域完結型医療」では大病院から地域の診療所等への逆紹介を円滑に
行うことが重要ですが、逆紹介を否定的に捉える患者さんが一定数存在します[2,3]。逆紹介
を促進するためには、逆紹介に対する患者さんの態度や認識を医師が理解し、患者さんに合
わせて適切な対応をする必要があります。しかしながら、患者さんの逆紹介に対する選好の
程度を可視化できる尺度は存在しませんでした。そこで、本研究では、患者さんの逆紹介に
関する選好を構成する因子構造を明らかにし(図 1)、新しく患者逆紹介選好尺度を開発す
ることを目的としました。
研究内容
尺度研究で世界的に使用される COSMIN ガイドラインの手順に則り、尺度を開発しまし
た。まず、専門家 7 名により逆紹介の選好に関する 46 個の質問項目からなる項目プールを
作成しました。この項目プールを用い、過去 6 カ月以内に大病院(400 床以上)に入院した
経験があり、その疾患で何らかの医療機関に通院している 20 歳以上の患者さんを対象とし
て、インターネットによるアンケート調査を行いました。アンケート調査で得られた結果を
用いて探索的因子分析*3を行い、患者さんの逆紹介選好を構成する因子構造を決定しまし
た。得られた因子を下位尺度として逆紹介選好を測定するための新しい尺度を作成し、尺度
の測定結果が一貫するか(尺度の信頼性)および尺度が測定したいものを本当に測定できて
いるか(尺度の妥当性)を検討しました。
インターネット調査パネル登録者 23,000 人を対象にスクリーニング調査を行った結果、
374 人が本研究の条件に当てはまりました。その 374 人を対象にアンケート調査を実施し
たところ、293 人より回答を得ました。得られた回答を基に探索的因子分析を行った結果、
患者逆紹介選好に関連する因子として「かかりつけ医評価」、「逆紹介受容性」、「治療継続
性」
、
「病勢評価」の 4 つが同定されました。これら 4 つの因子を下位尺度とし計 19 個の質
問項目からなる患者逆紹介選好尺度 The 19-item Patient Preference Questionnaire Form for
Reverse Referral(PQR-19)を作成しました。
PQR-19 の各下位尺度のスコアにおける Cronbach のα係数*4は 0.76~0.87 であり、十
分な信頼性が示されました。また、医師の勧めで逆紹介に応じた患者さんでは、応じなかっ
た患者さんと比較して PQR-19 の全体スコアやその下位尺度である治療継続性スコアが統
計学的に有意に高く、他の下位尺度スコアもすべて高い傾向にあり、構成概念*5の妥当性
も確認されました。
今後の展開
今後、逆紹介に関する縦断的な観察研究や介入研究を行い、PQR-19 の有用性をさらに実
証していく予定です。例えば、ヘルスリテラシー、医師への信頼、患者満足度、あるいは患
2
研究背景
地域医療連携とは、病院と診療所がそれぞれの役割を分担して協力し、地域全体で効率
的で効果的な医療を提供することです。わが国で現在求められている医療の形は、以前の一
つの病院内で治療が完結する「病院完結型」から地域全体で患者を支える「地域完結型」に
変化しています[1]。
「地域完結型医療」では大病院から地域の診療所等への逆紹介を円滑に
行うことが重要ですが、逆紹介を否定的に捉える患者さんが一定数存在します[2,3]。逆紹介
を促進するためには、逆紹介に対する患者さんの態度や認識を医師が理解し、患者さんに合
わせて適切な対応をする必要があります。しかしながら、患者さんの逆紹介に対する選好の
程度を可視化できる尺度は存在しませんでした。そこで、本研究では、患者さんの逆紹介に
関する選好を構成する因子構造を明らかにし(図 1)、新しく患者逆紹介選好尺度を開発す
ることを目的としました。
研究内容
尺度研究で世界的に使用される COSMIN ガイドラインの手順に則り、尺度を開発しまし
た。まず、専門家 7 名により逆紹介の選好に関する 46 個の質問項目からなる項目プールを
作成しました。この項目プールを用い、過去 6 カ月以内に大病院(400 床以上)に入院した
経験があり、その疾患で何らかの医療機関に通院している 20 歳以上の患者さんを対象とし
て、インターネットによるアンケート調査を行いました。アンケート調査で得られた結果を
用いて探索的因子分析*3を行い、患者さんの逆紹介選好を構成する因子構造を決定しまし
た。得られた因子を下位尺度として逆紹介選好を測定するための新しい尺度を作成し、尺度
の測定結果が一貫するか(尺度の信頼性)および尺度が測定したいものを本当に測定できて
いるか(尺度の妥当性)を検討しました。
インターネット調査パネル登録者 23,000 人を対象にスクリーニング調査を行った結果、
374 人が本研究の条件に当てはまりました。その 374 人を対象にアンケート調査を実施し
たところ、293 人より回答を得ました。得られた回答を基に探索的因子分析を行った結果、
患者逆紹介選好に関連する因子として「かかりつけ医評価」、「逆紹介受容性」、「治療継続
性」
、
「病勢評価」の 4 つが同定されました。これら 4 つの因子を下位尺度とし計 19 個の質
問項目からなる患者逆紹介選好尺度 The 19-item Patient Preference Questionnaire Form for
Reverse Referral(PQR-19)を作成しました。
PQR-19 の各下位尺度のスコアにおける Cronbach のα係数*4は 0.76~0.87 であり、十
分な信頼性が示されました。また、医師の勧めで逆紹介に応じた患者さんでは、応じなかっ
た患者さんと比較して PQR-19 の全体スコアやその下位尺度である治療継続性スコアが統
計学的に有意に高く、他の下位尺度スコアもすべて高い傾向にあり、構成概念*5の妥当性
も確認されました。
今後の展開
今後、逆紹介に関する縦断的な観察研究や介入研究を行い、PQR-19 の有用性をさらに実
証していく予定です。例えば、ヘルスリテラシー、医師への信頼、患者満足度、あるいは患
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