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感染症週報 2025年第30週(7月21日-7月27日) (10 ページ)

公開元URL https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/jp/idwr/2025/index.html
出典情報 感染症週報 2025年第30週(7月21日-7月27日)(8/8)《国立感染症研究所》
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Infectious Diseases Weekly Report Japan

2025年 第30週
(7月21日〜 7月27日)
:通巻第27巻 第30号

注目すべき感染症
◆手足口病・ヘルパンギーナ

2025年第1~30週
(2025年7月30日現在)

手足口病およびヘルパンギーナは、口腔粘膜の水疱性の発疹および発熱を主症状とし、乳幼
児を中心に罹患するエンテロウイルス感染症である。わが国では、いずれも感染症法に基づく
5類感染症の小児科定点把握疾患に分類されており、2025年4月6日以前は全国約3,000カ所、
4月7日以降は全国約2,000カ所の定点から、臨床診断による患者数が毎週報告される。手足口
病は「手のひら、足底または足背、口腔粘膜に出現する2~5mm程度の水疱」
と「水疱は痂皮を
形成せずに治癒」の2つの臨床症状を、ヘルパンギーナでは「突然の高熱での発症」と「口蓋垂付
近の水疱疹や潰瘍や発赤」の2つの臨床症状を満たす患者が報告される。一般的には予後良好
であるが、手足口病の一部の症例では重症化し、乳幼児が中枢神経合併症、神経原性肺水腫、
心肺機能不全を呈した場合には死亡することもある。両疾患とも感染経路は主として飛沫感
染、接触感染であるため、手洗いの励行と排泄物の適正な処理が重要である。わが国の手足口
病の病原ウイルスは、エンテロウイルスであるコクサッキーウイルスA6(CA6)、A16(CA16)、
A10(CA10)、エンテロウイルス71(EV71)などである。ヘルパンギーナでは主にコクサッキーウ
イルスA群である場合が多いが、コクサッキーウイルスB群やエコーウイルスが原因となる場合
もある。手足口病・ヘルパンギーナともに、治療は原則として対症療法のみである。
手足口病、ヘルパンギーナともに毎年夏期に流行がみられる疾患である。
流行年における手足口病の発生動向は、過去10年において、新型コロナウイルス感染症の流
行年を除き、全国の動向としては第20週ごろに増加が確認され、第30週ごろに定点当たり報
告数10.0程度のピークに達した後、第40週ごろには1.0程度に低下し、第48〜50週ごろにはほ
ぼ終息していた。2024年は第28週のピーク(定点当たり報告数13.34、報告数41,885例)に続き、
第 41 週にも定点当たり報告数 10.78( 33,760 例)と二峰性を呈したことが特徴的であった。
2025年の報告は、例年より低調で、第20週から定点当たり報告数0.13(305例)と増加しはじめ
たものの、その増加は緩徐で、第30週時点でも0.59(1,380例)と、大きな流行は確認されていな
い(過去10年の流行状況のグラフ:https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/jp/graph/
weekly/06hfmd.html)。
ヘルパンギーナの発生動向は、新型コロナウイルス感染症の流行年を除き、第20週ごろより
増加が確認され、第30週ごろに定点当たり報告数3.0〜4.0程度のピークに達した後、比較的速
やかに減少し、第48〜50週ごろには終息していた。
2025 年のヘルパンギーナの報告は、例年と同様に、第 23 週より定点当たり報告数が
0.19(447例)と増加しはじめ、第26週には1.02(2,398例)、第29週には1.87(4,401例)と上昇し、
第30週では1.63(3,852例)であった。過去10年において最も高いピーク値は2023年第27週の定
点当たり報告数7.32(22,980例)であり、2025年の状況は例年と同程度、あるいは少ない流行規
模である(過去10年の流行状況のグラフ:https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/jp/
graph/weekly/10herp.html)。
新型コロナウイルス感染症の流行後、様々な感染症で不規則な流行が確認されている。
2024年の手足口病では二峰性を示し、これらの主な検出ウイルスは最初のピークでCA6、次の
ピークでCA16であった(https://kansen-levelmap.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data115j.pdf)。
2025年はおおむね例年と同様の発生動向で、大きな流行は確認されていないが、本年も引き続
き、従来の流行時期である夏季以降もその発生動向に注視する必要がある。また、ヘルパンギー
ナも例年と同程度であるが、今後の発生動向の把握が重要である。

Ministry of Health, Labour and Welfare / Japan Institute for Health Security, National Institute of Infectious Diseases

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