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多能性幹細胞から尿管組織を作ることに成功~移植可能な腎臓オルガノイドへの応用に期待~ (2 ページ)

公開元URL https://www.kumamoto-u.ac.jp/daigakujouhou/kouhou/pressrelease/2025_file/release250623.pdf
出典情報 熊本大学 生命科学先端研究 プレスリリース(6/23)《熊本大学》
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本 研 究 成 果 は、科 学 雑 誌 「Nature Communications」のオンライン版 に6月 20日 午 前
10時 (イギリス時 間 )【日 本 時 間 の6月 20日 午 後 6時 】に掲 載 されます。
※本 研 究 は、文 部 科 学 省 科 学 研 究 費 補 助 金 (基 盤 研 究 (S)、国 際 先 導 研 究 「腎 臓 を
創 る」)、JST創 発 的 研 究 支 援 事 業 (JPMJFR2266)の支 援 を受 けました。

(説明)
[背 景 ]
腎 臓 は人 体 の恒 常 性 維 持 を担 う重 要 な臓 器 ですが、再 生 しない臓 器 です。腎 不
全 による人 工 透 析 患 者 さんは 日 本 国 内 だけでも34万 人 を超 えており、腎 移 植 の 機
会 も限 られていることから腎 臓 の再 生 医 療 に期 待 が集 まっています。
近 年 の幹 細 胞 生 物 学 の進 歩 により、多 能 性 幹 細 胞 から腎 臓 組 織 を人 工 的 に作
ることが可 能 になっています。熊 本 大 学 発 生 医 学 研 究 所 の西 中 村 隆 一 教 授 の研 究
グループはこれまで、多 能 性 幹 細 胞 から腎 臓 を構 成 する前 駆 細 胞 の誘 導 法 を世 界
に先 駆 けて確 立 し、特 にマウスES細 胞 から複 雑 な三 次 元 構 造 (高 次 構 造 )を有 する
腎 臓 組 織 (腎 臓 オルガノイド) を作 ることに成 功 しました。しかしこの腎 臓 オルガノイ
ドには産 生 された尿 の排 泄 経 路 である「尿 管 」は付 随 しておらず、このことが腎 臓 オ
ルガノイドを移 植 医 療 に応 用 する際 のボトルネックになっています。
尿 管 は上 皮 と間 質 で構 成 され、これらの前 駆 細 胞 の相 互 作 用 により発 生 します。
これらのうち尿 管 上 皮 の前 駆 細 胞 (尿 管 芽 ) への誘 導 法 は 、同 グループを含 め複
数 報 告 されていますが、残 る尿 管 間 質 の前 駆 細 胞 への誘 導 法 は世 界 的 にみても確
立 されていませんでした。
[研 究 の内 容 ]
そこで本 研 究 では、この尿 管 間 質 の前 駆 細 胞 を多 能 性 幹 細 胞 から誘 導 する方 法
を確 立 し、マウス胎 仔 由 来 の尿 管 上 皮 、もしくは多 能 性 幹 細 胞 から誘 導 した尿 管 芽
と組 み合 わせることで、多 能 性 幹 細 胞 から尿 管 組 織 を作 ることを目 的 としました。
まず胎 児 期 のマウス腎 臓 、尿 管 を用 いて、尿 管 間 質 の前 駆 細 胞 に特 徴 的 な遺 伝
子 群 やその発 生 メカニズムを同 定 しました。次 に、尿 管 間 質 の前 駆 細 胞 の起 源 であ
る後 方 中 間 中 胚 葉 と呼 ばれる組 織 を単 離 し、それを尿 管 間 質 の前 駆 細 胞 まで誘 導
する培 養 条 件 を確 立 しました。これらを基 に、マウスES細 胞 とヒ トiPS細 胞 から 後 方
中 間 中 胚 葉 を経 由 して尿 管 間 質 の 前 駆 細 胞 を誘 導 する方 法 を 開 発 しました。この
誘 導 した尿 管 間 質 の前 駆 細 胞 を、マウス胎 仔 由 来 の尿 管 上 皮 や多 能 性 幹 細 胞 か
ら誘 導 した尿 管 芽 と組 み合 わせて試 験 管 内 で培 養 し、分 化 した尿 管 組 織 を作 ること
に成 功 しました。さらにこれらの方 法 は、尿 管 に異 常 をきたす遺 伝 子 の 機 能 解 明 に
利 用 できることも示 しました。
[展 開 ]
本 研 究 は、尿 管 間 質 の前 駆 細 胞 の誘 導 法 を確 立 し、生 体 内 の尿 管 上 皮 や誘 導
した尿 管 芽 と組 み合 わせることで、人 工 的 な尿 管 組 織 の作 成 を実 現 したものです。
尿 管 という生 体 内 で腎 臓 が機 能 を発 揮 するために必 須 な構 造 を、試 験 管 内 で多 能
性 幹 細 胞 から構 築 することに成 功 した初 めての報 告 であり、尿 管 に異 常 がみられる
様 々な疾 患 の病 態 解 明 に応 用 が可 能 です。また、同 グループから発 表 済 みである、
高 次 構 造 を有 する腎 臓 オルガノイドと繋 ぎ合 わせることができれば、尿 が作 られて出
ていくという臓 器 本 来 の機 能 を持 った腎 臓 オルガノイドを試 験 管 内 で作 って移 植 でき
るようになる可 能 性 があります。今 後 のステップとして、尿 管 オルガノイドの質 を高 め、