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感染症週報 2025年第24週(6月9日-6月15日) (10 ページ)

公開元URL https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/jp/idwr/2025/index.html
出典情報 感染症週報 2025年第24週(6月9日-6月15日)(6/27)《国立感染症研究所》
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Infectious Diseases Weekly Report Japan

2025年 第24週
(6月9日〜 6月15日)
:通巻第27巻 第24号

注目すべき感染症
◆水痘 2025年第1~24週(2025年6月18日現在)
2021年以降、国内の水痘の報告数は低水準で推移していたが、2025年第24週時点で、水痘
の定点当たり累積報告数および入院例の累積報告数は、いずれも過去5年間の同時期と比較し
て最多となっている。本稿は、昨今の状況をふまえ、国内における水痘届出症例の最新の疫学
的状況を報告することを目的としている。
水痘は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染で発症する発疹性の疾患であり、VZVは感
染力が強く、主に空気感染、飛沫感染、接触感染で伝播する。また、体内のVZVの再活性化
によって発症した帯状疱疹患者からも感染が伝播しうる。水痘の主症状は発疹、発熱、倦怠感
である。発疹は通常、紅斑から丘疹、水疱、膿疱、痂皮化を経て治癒するとされているが、急性
期にはそれぞれの段階が混在することが特徴であり、頭皮、体幹、四肢の順に出現する。なお、
水痘ワクチン接種後42日以降に水痘に罹患した場合はブレイクスルー水痘と呼ばれ、一般的に
は軽症で発疹数が少なく、発熱が見られないこともある。水痘は主に小児に多く予後良好な疾
患であるが、成人や妊婦、乳児、あるいは免疫不全や合併症がある場合には重症化のリスクが
高くなる。また、妊娠早期の感染では胎児死亡や先天性水痘症候群のリスクがあるほか、出産
の前後数日間で母親が発症すると児が重症化する場合があり、児の致命率が高くなる。水痘
はワクチンで予防可能であり、日本では2014年10月に定期接種の対象疾病に定められた。定
期接種対象となるのは生後12~36カ月に至るまでの児で、3カ月以上(通常6~12カ月)の間隔
をあけて2回の接種を行うこととされている。
わが国の感染症法に基づく感染症発生動向調査において、水痘は五類小児科定点把握対象
疾患に指定されているほか、水痘で24時間以上入院した症例(他疾患で入院中に水痘を発症
し、発症後24時間以上経過した例を含む)は五類全数把握疾患〔水痘(入院例に限る。)〕として
届出の対象となる。さらに、学校保健安全法における第二種感染症としても指定されており、
罹患した児は原則としてすべての発疹が痂皮化するまで出席停止となる。
小児科定点把握対象疾患としての水痘の報告数は2020年以降、新型コロナウイルス感染症
(COVID-19)の流行もあり低調であった。しかし、2025年第24週の定点当たり報告数(0.61)は、
昨年同時期(0.25)、また直近で第24週の定点当たり報告数が最も高かった2019年(0.39)を大
きく上回っている。また、直近5週間(第20~24週)の定点当たり報告数も過去5年間の同時期
と比較して最も高い水準であった(表1)。

表 1.
1. 各年第
各年第2020
週における水痘の定点当たり報告数(2020
〜 2025 年速報値)

〜〜
24 24
週における水痘の定点当たり報告数(2020
〜 2025 年速報値)
第第
20 週
20 週
2020
2020年年
2021 年

2021 年

0.12

0.12

0.09 0.09
0.13

2022 年

0.07

0.09

2023 年

0.10

0.13

2022 年

2023年年
2024

2024年年
2025
2025 年



0.09
0.09

第 21第
週 21 週 第 22 週第 22 週第 23 週 第 23 週
第 24 週

0.07

0.10
0.16
0.16
0.54
0.54

0.13
0.09

0.22 0.13
0.59 0.22

0.59

0.08
0.12
0.09
0.11
0.22
0.59

0.08
0.12
0.09
0.11
0.22
0.59

0.10
0.12
0.08
0.13
0.21
0.47

0.10 0.11
0.11
0.12
0.08

0.08
0.13

0.13 0.25
0.21 0.61

第 24 週
0.11
0.11
0.08
0.13
0.25

(20250.47
年 6 月 18 日現在) 0.61

(2025 年 6 月 18 日現在)

2025年第24週の定点当たり報告数上位5都道府県は、埼玉県(1.73)、神奈川県(1.40)、東京
都(1.09)、宮崎県(0.87)、北海道(0.80)であった。

Ministry of Health, Labour and Welfare / Japan Institute for Health Security, National Institute of Infectious Diseases

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