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激動の世界を見据えたあるべき財政運営 概要 (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseia20250527/index.html |
出典情報 | 財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等) 激動の世界を見据えたあるべき財政運営(5/27)《財務省》 |
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I 基本認識
激動の世界を見据えたあるべき財政運営(概要)
令和7年5月27日
財政制度等審議会
○ 米国トランプ政権の政策は、自由貿易体制など戦後の国際秩序の根幹を揺るがしかねない。背景には資本主義が広がる中
での所得格差・分断、社会の不安定化があり、これを構造的な変化と捉え、我が国も中長期の観点で冷静に戦略的な対応をす
る必要。人口減少・少子高齢化が不可避の我が国にあって新しい経済社会モデルの設計が求められている。
○ 新たな経済ステージへの移行には成長と分配の好循環を実現し、物価上昇を上回る持続的な賃上げを実現・定着させること
が鍵。一方、米国の関税措置が我が国の経済・財政に与える影響は不透明であり、引き続き注視していく必要があることに加え、
物価高で真に困っている者に対する丁寧な支援も必要。その際、供給制約局面であり、広範な需要刺激策は的確な支援とな
らないおそれに留意。格差について、経済全体の構造を的確に見極め、制度全体を通じた再分配のあり方を検討すべき。
○ 世界最悪水準の債務残高対GDP比や金利上昇に伴う利払費の増加リスクを抱える中、有事にあって万全の対応を期すため、
市場の信認を確実なものとすることが重要。財政健全化は、国民の負担によって提供されている公的サービスの安定性が大き
く損なわれるリスクを回避するための努力にほかならない。
II 財政総論
○ 人口減少・少子高齢化という構造的な課題に策を講じつつ、供給制約に対応していくためには、①労働生産性の向上や資本
ストックの増強などを通じて活力ある経済社会の実現を図ること、②各地域が特色を活かし安心で豊かな地域社会を主体的に
確立すること、③持続可能な社会保障制度を構築することが重要。
○ 物価上昇局面では税収増が期待される一方、利払費等の歳出増が想定される。このような環境下で歳出を大幅に増加させた
場合、物価上昇のスパイラル的な加速や利払費の更なる増加が生じるおそれに留意する必要。
○ 金利が上昇する局面の中、金融政策の調整が進められ、銀⾏の国債消化余⼒の度合いや海外投資家の国債保有割合の上
昇等を踏まえると、国債の安定消化のためには、財政に対する市場からの信認維持が一層求められる。そうした中で、幅広い投
資家層に対する国債の保有促進に努めることが必要。また、国債の格下げは、国だけでなく企業経営にも影響を与えること等を
踏まえ、他のG7諸国並みへの格上げを目指し、健全な経済・財政運営に取り組む必要。
○ 巨大地震などの自然災害や安全保障環境の急変などの有事には、甚大な財政需要が生じうる。金利が上昇する局面になり、
利払費が増加していくおそれがある中、有事に備えた財政余力の確保の重要性が一層増加。
○ 持続的な経済成長を実現しつつ、骨太2024で定められた経済・財政新生計画の枠組みを維持し、2025年度から2026年
度にかけて、可能な限り早期のプライマリーバランス黒字化を目指すとともに、その黒字化を通過点として、一定のプライマリーバ
ランスの黒字幅を確保しつつ、まずは2030年度までに、債務残高対GDP比について、コロナ禍前の水準に向けて安定的に引
き下げることを目指すべき。そのためにどの程度のプライマリーバランス黒字幅が必要であるかは、今後更に検討する必要。
激動の世界を見据えたあるべき財政運営(概要)
令和7年5月27日
財政制度等審議会
○ 米国トランプ政権の政策は、自由貿易体制など戦後の国際秩序の根幹を揺るがしかねない。背景には資本主義が広がる中
での所得格差・分断、社会の不安定化があり、これを構造的な変化と捉え、我が国も中長期の観点で冷静に戦略的な対応をす
る必要。人口減少・少子高齢化が不可避の我が国にあって新しい経済社会モデルの設計が求められている。
○ 新たな経済ステージへの移行には成長と分配の好循環を実現し、物価上昇を上回る持続的な賃上げを実現・定着させること
が鍵。一方、米国の関税措置が我が国の経済・財政に与える影響は不透明であり、引き続き注視していく必要があることに加え、
物価高で真に困っている者に対する丁寧な支援も必要。その際、供給制約局面であり、広範な需要刺激策は的確な支援とな
らないおそれに留意。格差について、経済全体の構造を的確に見極め、制度全体を通じた再分配のあり方を検討すべき。
○ 世界最悪水準の債務残高対GDP比や金利上昇に伴う利払費の増加リスクを抱える中、有事にあって万全の対応を期すため、
市場の信認を確実なものとすることが重要。財政健全化は、国民の負担によって提供されている公的サービスの安定性が大き
く損なわれるリスクを回避するための努力にほかならない。
II 財政総論
○ 人口減少・少子高齢化という構造的な課題に策を講じつつ、供給制約に対応していくためには、①労働生産性の向上や資本
ストックの増強などを通じて活力ある経済社会の実現を図ること、②各地域が特色を活かし安心で豊かな地域社会を主体的に
確立すること、③持続可能な社会保障制度を構築することが重要。
○ 物価上昇局面では税収増が期待される一方、利払費等の歳出増が想定される。このような環境下で歳出を大幅に増加させた
場合、物価上昇のスパイラル的な加速や利払費の更なる増加が生じるおそれに留意する必要。
○ 金利が上昇する局面の中、金融政策の調整が進められ、銀⾏の国債消化余⼒の度合いや海外投資家の国債保有割合の上
昇等を踏まえると、国債の安定消化のためには、財政に対する市場からの信認維持が一層求められる。そうした中で、幅広い投
資家層に対する国債の保有促進に努めることが必要。また、国債の格下げは、国だけでなく企業経営にも影響を与えること等を
踏まえ、他のG7諸国並みへの格上げを目指し、健全な経済・財政運営に取り組む必要。
○ 巨大地震などの自然災害や安全保障環境の急変などの有事には、甚大な財政需要が生じうる。金利が上昇する局面になり、
利払費が増加していくおそれがある中、有事に備えた財政余力の確保の重要性が一層増加。
○ 持続的な経済成長を実現しつつ、骨太2024で定められた経済・財政新生計画の枠組みを維持し、2025年度から2026年
度にかけて、可能な限り早期のプライマリーバランス黒字化を目指すとともに、その黒字化を通過点として、一定のプライマリーバ
ランスの黒字幅を確保しつつ、まずは2030年度までに、債務残高対GDP比について、コロナ禍前の水準に向けて安定的に引
き下げることを目指すべき。そのためにどの程度のプライマリーバランス黒字幅が必要であるかは、今後更に検討する必要。