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医療業版 勤務間インターバル制度導入・運用マニュアル (73 ページ)
出典
公開元URL | https://work-holiday.mhlw.go.jp/interval/pdf/06.pdf |
出典情報 | 医療業版 勤務間インターバル制度導入・運用マニュアル(4/4)《厚生労働省》 |
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事例 No.8
株式会社エール
看護師にとって精神的負担が大きいオンコール対応における
ファーストコール対応をなくし、11 時間のインターバル時間
を確保し働きやすさと質向上の両立を目指す
■ 所在地
岡山県岡山市
■業
■ 設立年
2015 年
■ 従事者数
種
訪問看護事業所
49 名(2025 年 2 月現在)
■ 勤務間インターバル制度の概要
導入時期
2020 年
インターバル時間
11 時間
適用対象範囲
全職員
規定根拠
通達
(1)制度導入の目的
当社は、2016 年に最初の事業として訪問看護ステーションを開設しました。開設当初、営業時間外は看護師が
オンコール対応をしていましたが、働き手がリラックスして過ごせない環境はよくないと思っていました。実際、
訪問看護特有のこの勤務形態は、人材確保の難しさにもつながっています。
また、
「訪問看護に興味はあるが、夜勤がない訪問看護ステーションに転職すると夜勤手当がなくなり、給料が減っ
てしまう」という病院勤務の看護師の声を多く聞いてきました。訪問看護は夜間のニーズが少なく、夜勤スタッフ
を配置することによって発生するコストと収益が見合わないという現実があります。
今後、医療ニーズの高まりやニーズの多様化複雑化で、夜間・早朝・深夜あるいは休日に看護師が出動すること
が増えることが予測されますが、日勤後に拘束されるオンコール対応のようにボランティア精神に頼っている現状
が続けば、看護の安全性や、質の担保も難しくなるというのが実感です。また、訪問看護・訪問介護の業務は、移
動とセットです。当社のような地方においては、常に自動車を運転して移動します。疲労が蓄積したり、睡眠不足
になったりして運転時に眠気が襲うことがあれば、事故を引き起こすリスクも高まるほか、看護職自身の健康と安
全が確保できないと日々実感していますので、仕組みとして勤務間インターバルを十分に確保し、きちんと休んだ
うえで勤務に臨むことのできる環境を整えたいと思いました。
2020 年に 24 時間 365 日体制が前提となる事業構築を目指し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の一体型事
業所となりました。訪問介護と訪問看護が一体的になって定期巡回訪問を行いながら、利用者やその家族からの電
話相談や訪問依頼に 24 時間 365 日体制で随時対応することが求められます。そこで、オンコールのファーストコー
ル対応を介護職が担うことで看護師のオンコール対応の負担を少しでも軽減するとともに、十分なインターバル時
間の確保を目指しました。
(2)制度導入にあたって
2020 年に定期巡回・随時対応型訪問介護看護の一体型事業所となったのを機に、改めて全職員と面談を行い
ました。事業所としての運営方針を伝えるとともに、勤務可能な時間帯を一人ひとりから聞き取ったのです。そ
の内容を盛り込んだ雇用契約書を個別に作成したうえで、再度説明の場を設けて話し合いをしました。
勤務間インターバルを確保する仕組みを構築しようと考えたときから懸念していたことですが、日勤や夜勤と
いった勤務形態において制限なく対応できる職員は限られています。たとえば子育て中の世代からは、
「日勤はで
きますが、
早出や準夜は家に子どもがいる時間なのでできません」という声もあります。制限なく対応できるため、
早出や準夜も行う職員と、勤務時間の制限がかかってしまう職員がいると、どうしても不公平感が出てしまいま
すので、全員が納得できる仕組みにするため、日勤以外には手当をつけるなどの工夫をしました。
当社の場合、看護職員は日勤、早出、準夜の 3 つの勤務形態があり、介護職員は夜間勤務もあります。日勤は
9 時から 18 時まで、早出は 6 時から1 5 時、準夜は 13 時から 22 時です。早出は1回 2,000 円、準夜は 1 回
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株式会社エール
看護師にとって精神的負担が大きいオンコール対応における
ファーストコール対応をなくし、11 時間のインターバル時間
を確保し働きやすさと質向上の両立を目指す
■ 所在地
岡山県岡山市
■業
■ 設立年
2015 年
■ 従事者数
種
訪問看護事業所
49 名(2025 年 2 月現在)
■ 勤務間インターバル制度の概要
導入時期
2020 年
インターバル時間
11 時間
適用対象範囲
全職員
規定根拠
通達
(1)制度導入の目的
当社は、2016 年に最初の事業として訪問看護ステーションを開設しました。開設当初、営業時間外は看護師が
オンコール対応をしていましたが、働き手がリラックスして過ごせない環境はよくないと思っていました。実際、
訪問看護特有のこの勤務形態は、人材確保の難しさにもつながっています。
また、
「訪問看護に興味はあるが、夜勤がない訪問看護ステーションに転職すると夜勤手当がなくなり、給料が減っ
てしまう」という病院勤務の看護師の声を多く聞いてきました。訪問看護は夜間のニーズが少なく、夜勤スタッフ
を配置することによって発生するコストと収益が見合わないという現実があります。
今後、医療ニーズの高まりやニーズの多様化複雑化で、夜間・早朝・深夜あるいは休日に看護師が出動すること
が増えることが予測されますが、日勤後に拘束されるオンコール対応のようにボランティア精神に頼っている現状
が続けば、看護の安全性や、質の担保も難しくなるというのが実感です。また、訪問看護・訪問介護の業務は、移
動とセットです。当社のような地方においては、常に自動車を運転して移動します。疲労が蓄積したり、睡眠不足
になったりして運転時に眠気が襲うことがあれば、事故を引き起こすリスクも高まるほか、看護職自身の健康と安
全が確保できないと日々実感していますので、仕組みとして勤務間インターバルを十分に確保し、きちんと休んだ
うえで勤務に臨むことのできる環境を整えたいと思いました。
2020 年に 24 時間 365 日体制が前提となる事業構築を目指し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の一体型事
業所となりました。訪問介護と訪問看護が一体的になって定期巡回訪問を行いながら、利用者やその家族からの電
話相談や訪問依頼に 24 時間 365 日体制で随時対応することが求められます。そこで、オンコールのファーストコー
ル対応を介護職が担うことで看護師のオンコール対応の負担を少しでも軽減するとともに、十分なインターバル時
間の確保を目指しました。
(2)制度導入にあたって
2020 年に定期巡回・随時対応型訪問介護看護の一体型事業所となったのを機に、改めて全職員と面談を行い
ました。事業所としての運営方針を伝えるとともに、勤務可能な時間帯を一人ひとりから聞き取ったのです。そ
の内容を盛り込んだ雇用契約書を個別に作成したうえで、再度説明の場を設けて話し合いをしました。
勤務間インターバルを確保する仕組みを構築しようと考えたときから懸念していたことですが、日勤や夜勤と
いった勤務形態において制限なく対応できる職員は限られています。たとえば子育て中の世代からは、
「日勤はで
きますが、
早出や準夜は家に子どもがいる時間なのでできません」という声もあります。制限なく対応できるため、
早出や準夜も行う職員と、勤務時間の制限がかかってしまう職員がいると、どうしても不公平感が出てしまいま
すので、全員が納得できる仕組みにするため、日勤以外には手当をつけるなどの工夫をしました。
当社の場合、看護職員は日勤、早出、準夜の 3 つの勤務形態があり、介護職員は夜間勤務もあります。日勤は
9 時から 18 時まで、早出は 6 時から1 5 時、準夜は 13 時から 22 時です。早出は1回 2,000 円、準夜は 1 回
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