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資料 3 - 3 現行の診断基準等 (22 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_31470.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第50回 3/3)《厚生労働省》
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濃度は増大する。
ヘテロ接合体では血清セルロプラスミンレベルは正常の約 1/2 である。
MRI では T2 強調画像で大脳および小脳、淡蒼球、尾状核、被殻、視床、赤核、黒質で低輝度を認め、
FDG-PET で発症早期には尾状核の低代謝、進行期には基底核、大脳皮質にまで低代謝領域が広がる。ヘ
テロ接合体の MRI では小脳萎縮のみが報告されている。鉄濃度の増大は内臓でも見られ、肝臓で著しい。
4.遺伝子変異と病態生理
無セルロプラスミン血症(Aceruloplasminemia)ではセルロプラスミン遺伝子の変異が見られる。40 程度の変
異が知られているが、いわゆる hot spot はない。
セルロプラスミンは血漿銅の 95%の担体であり、フェロキシダーゼとしての作用があり、組織から鉄を移動
する。さらに free radical scavenger としても作用する。セルロプラスミン遺伝子異常が生じると組織からの鉄移
動がうまくいかなくなり、その結果組織内に鉄が蓄積し、組織内で酸化的ストレスが増大する。脳内での酸化
的ストレスが増大していることは 4-水酸化ノネナールやマロン酸-2-アルデヒド濃度が上昇していることで証
明された。ミトコンドリアの complex I と IV 機能に関する検討から、ミトコンドリア機能障害も明らかとされてい
る。
組織学的には脳内鉄量が正常の2~5倍となり、尾状核、被殻で著しい。鉄は神経細胞よりもアストロサイ
トで著明に蓄積する。肝臓には鉄枕着は見られるが、肝硬変像はない。膵臓β細胞に鉄枕着を認め、糖尿病
の原因と推定される。
5.鑑別診断
(1)NBIA の他疾患
(2)ウィルソン(Wilson)病
(3)メンケス(Menkes)病
(4)HFA associated hereditary hemochromatosis
6.治療
大規模な鉄キレート薬や鉄欠乏治療はないが、症例報告では有用とされた。改善は神経系-不随意運動
や失調症状に有効とされた。
<Fatty Acid Hydroxylase-associated neurodegeneration(FAHN):dysmyelinating leukodystrophy and spastic
paraparasis with or without dystonia, spastic paraplegia 35>
1.診断指針
(1)遺伝様式 常染色体性劣性(遺伝子座 16q21-q23.1、原因遺伝子 FA2H、遺伝子産物 FAHN)
MIM ID #612319
(2)発症年齢: 3~11 歳
(3)頻度 1/1,000,000 以下
2.臨床症状
3~11 歳で発症する錐体路障害、失調/ジストニア、眼症状(視神経萎縮、眼球運動障害)を早期に呈する
疾患で、進行性に知的機能障害、てんかんを生じる。NBIA に属する疾患の1つで、7家系の報告がある。対
麻痺から痙性四肢麻痺を呈する。講語障害、嚥下障害も示す。眼症状としては視力低下、視野狭窄、色覚障
害を認め、眼球運動系では斜視、側方視眼振、核上性眼球運動障害を認める。

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