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資料3-9 武藤先生提出資料 (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第113回 1/11)《厚生労働省》
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行われておらず、自主的な対策に移行しており、感染対策という観点からの影響は軽微であ
る」とも述べられている。こうした評価は、これらの措置が実態としてすでに必要最小限の
ものではなくなっていることの証左でもあるといえる。
他方、他者に感染させないことを主目的とした入院や濃厚接触者の把握と管理に対する
人々の見方には地域差が生じており、依然として他者に感染させないことを主目的とした
入院や宿泊療養について住民からの要望が根強い地域もある。また、
「濃厚接触者」という
用語は人口に膾炙し、人々の間で「濃厚接触者」の認定やその行動管理をする慣行が一般化
している状況にある。
他者に感染させないことを主目的とする措置が正当化されうるのは、その有効性が人々
の自由の制限による不利益を上回ることが見込まれる場合に限られる。介入の有効性と基
本的人権への制限のバランスが釣り合わない事態を容認することは、国として必要最小限
度を超えた基本的人権の制限を容認した状態が持続することを意味する。また、強制力を伴
った措置の対象とされ続けること自体が、患者や濃厚接触者に対する忌避や偏見、差別の一
因となりうることに十分に留意する必要がある。
そのため、我々は、他者に感染させないための措置の対象から COVID-19 を外すことを国
として速やかに宣言すべきであると考える。日本では過去に、らい予防法の改廃に途方もな
い年月を要した反省2、新型インフルエンザ(A/H1N1)対策において病原性等に応じた柔軟
な対応が課題であったことの教訓3を活かす必要がある。また、SARS-CoV-2 の病原性が高ま
る事態や新たな感染症のパンデミックの到来に備え、まん延防止に対して迅速に人々の協
力が得られる環境を整備する必要性も考慮すべきである。
ただし、旧伝染病予防法から感染症法への改正に伴って、法第 19 条に込められていた、
入院を必要としうる人への医療の保障を些かも疎かにすべきではない。他者に感染させな
いための措置の対象から COVID-19 を外すことは、医療を必要とする人々を幅広い医療機関
で適切に診療できる体制の構築と安定にも寄与するものと考える。
3.死に対する考え方と死者数の取扱い
今後とも基礎疾患を有する人々や高齢者施設等で暮らす人々、医療・ケア従事者のための
感染対策や医療提供体制が強化され、死者数の抑制に努めることは必要である。また、死者
数の予測値が示されることは、COVID-19 対策に取り組む人々にとって参考になるだろう。
しかしながら、今後、COVID-19 に対する措置を減らす過程において、国として許容でき
る、あるいは許容できない死者数の目標設定は回避すべきである。

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「ハンセン病問題に関する検証会議 最終報告書」
(2005 年 3 月)における「第十九 再発防止のための
提言」の「三 科学的根拠に基づく健康政策改廃の阻害要因について」を参照のこと。
[https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/hansen/kanren/dl/4a30.pdf]
3
「新型インフルエンザ(A/H1N1)対策総括会議 報告書」
(2010 年 6 月)における「
(2)提言」の「病
原性等に応じた柔軟な対応」を参照のこと。[https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkakukansenshou04/dl/infu100610-00.pdf]

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