2022-004

対経費率（以下「経費率」という。）が、それぞ

ここまでで、介護医療院全体においても施設

れ 1 ポイント以上上昇し、事業利益率の低下に

類型別においても、2021 年度はそれ以前と比べ

つながったことがうかがえる。

事業利益率が低下し、経営状況が悪化したこと

Ⅱ型では入所利用率が若干低下しており、入

が確認できた。その要因は先に挙げたとおり、

所定員 1 人当たり事業収益も微減している。さ

移行定着支援加算の廃止や、コロナ禍での人件

らに、経費率の上昇はみられないものの、Ⅰ型

費率の上昇などが考えられる。そこで、黒字施

と同様に人件費率が上昇しており、事業利益率

設・赤字施設を比較することで、経営改善の示

と経常利益率の低下につながった。もとよりⅠ

唆があるか見ていきたい （図表 6）
。

型と比べると事業利益率は低かったが、2021 年

Ⅰ型・Ⅱ型ともに黒字施設・赤字施設の経営

度は 3.7％と 2020 年度から 2.0 ポイントも低下

状況の傾向は同じである。定員数は黒字施設の

し、経営状況の悪化がみられた。

ほうが赤字施設よりも多いことから、介護医療
院に移行する際には、ある程度の定員規模を確

3 経営指標から考える経営改善
3.1 2021 年度の黒字施設・赤字施設比較

保することを検討しても良いだろう。
収益面について加算を確認すると、黒字施設・

介護職員処遇改善加算（Ⅰ）の算定率と定員
10 人当たり従事者数に差。報酬単価が高い加
算の算定を目指すとともに、適正な職員配置
が必要

（図表 6）2021 年度

赤字施設で算定率に差がみられたのは介護職員
処遇改善加算（Ⅰ）であり、Ⅰ型の黒字施設では
算定率が 74.4％であるのに対し、赤字施設では

黒字施設・赤字施設別経営状況（施設類型別）
Ⅰ型

指標名

単位 黒字施設

事業収益対

施設数
定員数
入所利用率
在所日数（施設入所）
要介護度（施設入所＋短期入所）
介護職員処遇改善加算（Ⅰ）算定率
入所定員 1 人当たり事業収益
利用者 1 人 1 日当たり事業収益
うち介護料収益（施設入所＋短期入所）
うち利用者等利用料収益（施設入所＋短期入所）
入所定員 10 人当たり従事者数
うち医師数
うち看護師･准看護師･介護職員数
うち理学療法士･作業療法士・言語聴覚士
人件費率
医療材料費率
給食材料費率
経費率
減価償却費率
事業利益率
経常収益対経常利益率
従事者 1 人当たり事業収益
従事者 1 人当たり人件費

人
％
日
％
千円
円
円
円
人
人
人
人
％
％
％
％
％
％
％
千円
千円

43
85.1
93.1
496.8
4.17
74.4
6,262
17,398
14,486
2,816
6.82
0.28
4.97
0.42
57.8
5.1
5.7
17.9
4.0
9.4
10.2
9,177
5,307

Ⅱ型
差(黒字
差(黒字
赤字施設
黒字施設 赤字施設
‐赤字)
‐赤字)
14
15
13
57.3
65.7
55.2
27.8
10.5
93.3
94.6
89.1
△0.2
5.5
683.1 △186.3
479.4
595.9 △116.5
4.29
3.78
4.03
△0.12
△0.25
50.0
46.7
30.8
24.4
15.9
6,478
5,598
5,048
△216
550
17,230
168 14,007 14,119
△112
15,011
△525 12,420 12,364
55
2,198
1,546
1,672
618
△126
8.25
6.28
7.99
△1.43
△1.71
0.52
0.19
0.21
△0.25
△0.01
5.63
4.52
5.35
△0.66
△0.83
0.73
0.47
0.52
△0.31
△0.05
70.8
55.3
72.2
△13.0
△16.9
5.2
4.6
6.0
△0.2
△1.4
6.4
7.0
8.4
△0.7
△1.4
22.9
22.0
26.1
△4.9
△4.1
5.0
2.2
4.5
△1.0
△2.3
△10.3
8.9
△17.2
19.7
26.1
△10.4
7.7
△16.2
20.6
23.9
7,851
8,916
6,319
1,326
2,596
5,560
4,934
4,562
△253
372

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