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感染症週報 2026年第10週(3月2日-3月8日) (10 ページ)

公開元URL https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/idwr/2026/index.html
出典情報 感染症週報 2026年第10週(3月2日-3月8日)(3/23)《国立感染症研究所》
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Infectious Diseases Weekly Report Japan

2026年 第10週
(3月2日〜 3月8日)
:通巻第28巻 第10号

注目すべき感染症
◆麻しん 2026年第1~10週(2026年3月11日現在)
麻しんは麻疹ウイルスを病原体とする感染症であり、高熱、全身の発疹、カタル症状を特徴
とする。主に空気感染・飛沫感染・接触感染を感染経路とし、感染力は非常に強い。乳幼児
が麻しんに罹患した時に合併することが多い麻しん肺炎、麻しん患者1,000~2,000人に一人の
割合で合併する麻しん脳炎は麻しんによる主要な死亡原因である。また、主に乳児期に麻しん
に罹患・回復した後、数年~十数年の期間を経て、重篤な亜急性硬化性全脳炎(subacute
sclerosing panencephalitis:SSPE)を発症することがある。麻しんに対する特異的な治療法
はなく対症療法が中心となるが、予防接種を受けることで、麻しんを予防することができる。日
本は2015年にWHOの西太平洋地域麻しん排除認定委員会より麻しん排除状態にあると認定
され、その後も2024年まで排除状態の維持が確認されている。排除状態を維持するためには、
高い予防接種率の確保、継続的な麻しんサーベイランスの実施、ならびに迅速なアウトブレイ
ク対応が不可欠であり、国内では麻しんに関する特定感染症予防指針(平成19年厚生労働省告
示第442号:https://www.mhlw.go.jp/content/000503060.pdf)に基づき、排除状態の維持が
対策目標として掲げられている。本稿は、主に感染症発生動向調査に基づく国内の麻しんの疫
学状況に関する直近の情報を提供することを目的としてまとめたものである。
2026年第1~10週に診断された麻しんの累積報告数(2026年3月11日現在)は100例であり、
2020~2025年のいずれの年の同期間の累積報告数も上回った。診断週ごとの報告数は、第1~
4週で0~5例/週、第5~10週で7~27例/週となり、最近の増加傾向が顕著である。
報告された100例全例が届出に必要な病原体診断を満たした検査診断例であり、うち、主た
る臨床3症状(発疹、発熱、カタル症状)すべてを満たす典型的な「麻しん」が71例、臨床3症状
のうち、1つもしくは2つを満たす「修飾麻しん」が29例であった。性別では男性68例、女性32例
であり、年齢中央値は28歳(範囲1~58歳)であった。20都道府県から報告があり、都道府県別
の報告数の上位は、東京都で19例、愛知県で18例、神奈川県、新潟県で各10例、大阪府で9例
であった。推定感染地域は国内が67例(うち都道府県不明14例)、国外が17例(インドネシア
11例、インド1例、韓国1例、シンガポール1例、フィリピン1例、インドネシア/シンガポール1例、
フィンランド/イタリア/フランス1例)、国内・国外不明が16例であった。医療機関や保健所
等により収集されたワクチン接種歴について、1~5歳(第1期定期接種済み年齢群)と、6歳以
上(第2期定期接種済み年齢群)に分けて接種歴を整理したところ、1~5歳の4例では、接種歴
なしが3例、1回が1例であった。一方、6歳以上の96例では、接種歴なしが17例(18%)、1回が
20例(21%)、2回が25例(26%)、不明が34例(35%)であった。2回接種歴ありの25例のうち麻
しんは13例、修飾麻しんは12例であった。接種歴なしの20例は全て麻しんであった。
また、2026年3月11日現在、上記の100例のうち57例から検出された麻疹ウイルスの情報が
感染症サーベイランスシステムに報告されており、遺伝子型の内訳はB3型45例(79%)、D8型
12例(21%)であった。
近年、世界各国で麻しんの流行が報告されており、ヨーロッパ地域での患者増加や、カナダ
における排除状態の喪失が確認されるなど、国際的な流行状況の変化が認められた。麻しん排
除を達成している日本においても海外からの輸入症例が引き続き報告されており、それを契機
とした国内感染例もみられる。海外渡航予定者においては渡航先の流行状況や予防接種歴を確
認の上、必要に応じてワクチン接種を受けることが重要である。また、国内では、学校における

Ministry of Health, Labour and Welfare / Japan Institute for Health Security, National Institute of Infectious Diseases

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