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資料1-2-16診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (30 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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299 嚢胞性線維症
○ 概要
1.概要
嚢胞性線維症(膵嚢胞線維症 cystic fibrosis:CF、システィック・ファイブローシス)は、cystic fibrosis
transmembrane conductance regulator(CFTR)を原因分子とする全身性の疾患である。気道内液、腸管内
液、膵液など全身の分泌液/粘液が著しく粘稠となり、管腔が閉塞し感染し易くなる。典型的な症例では、
胎便性イレウスを起こし、膵臓が萎縮して膵外分泌不全による消化吸収不良を来たし、呼吸器感染を繰り
返して呼吸不全となる。汗中の塩化物イオン濃度の高値は特徴的な所見であり、診断に用いられる。
2.原因

CFTR 遺伝子の変異を原因とする。CFTR タンパクは全身の管腔臓器の主要な陰イオンチャネルである。
CF では、CFTR の機能低下により、気道、腸管、膵管、胆管、汗管、輸精管の上皮膜/粘膜を介するクロラ
イド(塩化物イオン)と水の輸送が障害される。そのため、管腔内の粘液/分泌液が過度に粘稠となり、管
腔が閉塞し感染し易くなり、多臓器の障害を来す。これまでに報告された遺伝子変異は 1,9002,000 種類を
超え、人種や国により多様である。同じ遺伝子変異を持つ患者でも、障害される臓器及び重症度が異なり、
病態形成の機序には不明な部分が多い。
3.症状
1)典型的な症例では、生直後にしばしば胎便性イレウスを起こす。その後、膵外分泌不全による消化吸収
不良を来たし、気道感染症を繰り返して呼吸不全となる。汗腺の塩化物イオンの再吸収が障害されるた
め、汗の塩分濃度が高くなる。障害される臓器と重症度は様々であるが、単一臓器のみが障害される患
者もいる。
2)胎便性イレウスは、国内の CF 患者の 40~50%に見られる。粘稠度の高い粘液のために胎便の排泄が
妨げられ、回腸末端部で通過障害が生じる。
3)呼吸器症状は、ほぼ全例の CF 患者に見られる。出生後、細気管支に粘稠度の高い粘液が貯留し、病
原細菌が定着すると細気管支炎や気管支炎を繰り返し、呼吸不全となる。膿性痰の喀出、咳嗽、呼吸困
難を来す。ムコイド型緑膿菌の持続感染が特徴である。
4)膵外分泌不全は、CF 患者の 80~85%に見られる。タンパク濃度の高い酸性の分泌液で小膵管が閉塞
し、次第に膵実質が脱落する。変化は胎内で始まり、典型的な症例では2歳頃に膵外分泌不全の状態
になり、脂肪便、栄養不良、低体重を来す。画像所見は、膵の萎縮あるいは脂肪置換を呈することが多
い。
5)胆汁うっ滞型肝硬変が、国内の CF 患者の 20~25%に見られる。
4.治療法
1)現在のところ根本的な治療法は無く、呼吸器感染症と栄養状態のコントロールが中心となる。生涯治療
を継続する必要がある。肺移植や肝移植が必要となる場合が多い。

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