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資料1-2-13診断基準等のアップデート案(第49回指定難病検討委員会資料) (59 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25626.html
出典情報 厚生科学審議会 疾病対策部会指定難病検討委員会(第49回 5/16)《厚生労働省》
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複合的運動異常症を呈する。
①初発症状: けいれん発作、異常眼球運動発作、無呼吸発作が乳児期に認められる。
②慢性神経症状: 知的障害や、運動失調、痙性、ジストニアなどの運動異常症を呈し、さまざまな組合
せで出現する。
③発作性症状: 軽症例では、発作性症状が唯一の症状ということもある。
・ てんかん発作: 本症の中核的症状であり、約 70%で複数の発作型を有し、全般性強直間代発作や定
型欠神発作が多く、他にミオクロニー、非定型欠神、焦点、脱力、強直発作などを認める。
・ 非てんかん性発作: 発作性運動異常症(発作性労作誘発性ジスキネジア、発作性非運動誘発性ジス
キネジア、周期性運動失調症、ジストニア、舞踏病、パーキンソニズム、ミオクローヌス)、脱力・運動麻痺、
協調運動障害、疼痛(頭痛など)、嘔吐、身体違和感、無気力・眠気・意識変容がある。
こうした発作性症状の典型的な誘発因子は空腹(特に早朝空腹)と運動である。疲労・睡眠不足、発熱、
感染症などの併発症、心理的ストレスも誘因となるが、自然にも起こりえる。そして、糖質摂取、安静、休息・
睡眠により改善する。
④検査所見では、古典型では血糖値が正常であるにもかかわらず、髄液糖値は 40 mg/dL 以下未満、
髄液糖/血糖比は 0.45 以下未満(平均 0.35)、を示す。ただし、軽症例ではこの基準を満たさないこともあ
る。髄液乳酸値は正常~低下を呈する。頭部 CT・MRI では大脳萎縮、髄鞘化遅延など非特異的所見を呈
する。発作間欠期脳波では背景脳波の徐波化を認める。てんかん波はないを認めないことがも多いが、初
期に焦点性棘波異常波を、成長とともに 2.5~4Hz の全般性棘徐波を認める。脳波異常は食事やグルコー
ス静注で改善する。頭部 MRI 検査では大脳萎縮、髄鞘化遅延、皮質下白質の散在性高信号を呈することも
ある。遺伝子検査にて確定診断されるが、遺伝子変異がない場合には赤血球 3-O-メチル-D-グルコース取
り込み試験で低下していれば GLUT-1DS と診断できる。
4. 治療法
てんかん発作は発作型によって抗てんかん薬に対しては治療抵抗性である。グルコースに代わりケトン
をエネルギー源として供給選択するケトン食療法(3:1~4:1)。アセタゾラミドは、診断がつき次第早期に
開始されるべきである。修正アトキンス食は、従来発作性運動異常症を治療する上でのケトン食に比べ調
理が容易で、カロリー、蛋白制限がないため空腹感がなく、長期継続しやすい利点がある。GLUT-1DS で
は、尿のケトスティックス検査で2~3+程度維持できれば有効である。成人例では、修正アトキンス食ある
いは低グリセミック指数食が実際的である。選択肢ともなる。理論的に GLUT1 の機能を抑制する薬剤薬物
(フェノバルビタール、抱水クロラール、テオフィリン)ジアゼパム、バルプロ酸)の使用については利益が上
回る場合には慎重投与でもよい。
本症が疑われたならばできるかぎり早期に、どの年齢でもケトン食療法を開始し、そして効果があれば成
人期まで維持されるべきである。ケトン食療法には、古典的ケトン食療法や飲食物(アルコール、カフェイ
ン)修正アトキンズ食など、いくつかの種類があるが、病院の体制や患者・家族の希望に応じて選択する。
本症は避けるべき、ケトン食療法用の調製粉乳であるケトンフォーミュラ®(明治 817-B)の適応疾患であり、
乳児早期からの治療も可能である。
5. 予後

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