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【委員提出資料1】菊池委員提出資料 (1 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66835.html
出典情報 高額療養費制度の在り方に関する専門委員会(第7回 12/8)《厚生労働省》
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令和7年 12 月8日

第7回高額療養費制度の在り方に関する専門委員会 委員提出資料1

第 7 回高額療養費制度の在り方に関する専門委員会 メモ
菊池馨実(早稲田大学)
〇患者の生命を救い QOL の向上をもたらす優れた医薬品が次々に登場している。こうし
た医薬品への保険適用は、すべての国民に対する受療機会の実質的平等という観点から望
ましい。他方、これらの医薬品は往々にして高額であり、今後も続々と登場することが見
込まれることからすれば、医療保険ひいては社会保障制度の持続可能性の観点から何らか
の対応策を考えざるを得ない。本委員会での高額療養費制度の在り方をめぐる議論も、こ
うした背景の下で行われてきたと考えられる。
〇持続可能性の観点からみると、高額療養費制度の在り方は、それ単体ではなく医療保険
制度改革全体の中で議論していく必要性があることが、本委員会での共通合意であったと
思われる。そうした医療保険制度改革の大きな方向性ないし政策目標として共有されてい
るのが、
「全世代型社会保障」とその具現化としての「負担能力別負担」である。
〇このことを前提とすれば、
「外来特例の限度額の引き上げ」と「よりきめ細かい所得区
分の設定」という方向性は適切と思われる。併せて、「外来特例の対象年齢の引き上げ」
についても積極的に評価したい。引き上げるとすれば、新たな基準は、他の諸制度との整
合性を考えれば 75 歳とすることが望ましいように思われる。ただし、引き上げにあたっ
ては対象者の急激な負担増にならないよう配慮が必要である。
〇他方、高額療養費が長期療養患者に及ぼす累積的な影響に鑑みれば、多数回該当の限度
額の引き上げ幅については配慮が必要である。また、第 1 回委員会でも述べたように、か
つて高額療養費の自己負担が政策上の争点となった際、低所得層への配慮の観点から、受
診時定額負担、いわゆるワンコインを財源に自己負担額を引き下げようという議論が俎上
に上がった。とりわけ年収 370 万円以下の多数回該当 44000 円という上限額は、年収が低
くなるほど服薬に向けた障壁を高くしている可能性があり、受療機会の実質的平等という
観点からは懸念される。以前、対応できなかった「宿題」に今回取り組む意味でも、現状
に据え置くにとどまらず、低所得層の上限額を引下げることで、
「負担能力別負担」の趣旨
を徹底することが適切と考える。
〇高額医薬品を使用した長期療養を必要とする患者の増大は、疾病構造や治療の在り方の
大きな変化を意味している。この点で検討を要するのが、高額長期疾病(特定疾病)に係
る高額療養費の特例の在り方である。この点も第 1 回委員会で指摘したものの、今回は高
齢者を対象とする外来特例が検討対象となるにとどまり、特定疾病に係る議論には至らな
かった。この特例は、「非常に高額な治療を長期間(ほとんど一生の間)にわたって継続し
なければならず、医療費負担が非常に高額に上るものがあ」り、
「このような患者につい
て、高額療養費の支給の特例を設けることにより、費用負担の軽減を図ることとした」も
のであり(
『健康保険法の解釈と運用(平成 29 年版)』900 頁)
、現在 3 疾病について自己
負担限度額を通常の場合より引き下げ、月額1万円(人工腎臓を実施している慢性腎不全
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