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資料5 マクロ経済運営の目指すべき方向性について~特別セッションの議論を受けて~(有識者議員提出資料) (1 ページ)

公開元URL https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2023/0526/agenda.html
出典情報 経済財政諮問会議(令和5年第7回 5/26)《内閣府》
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資料5
マクロ経済運営の目指すべき方向性について
~特別セッションの議論を受けて~
2023 年 5 月 26 日
十倉 雅和
中空 麻奈
新浪 剛史
柳川 範之
世界経済の構造が大きく変わる中、我が国のマクロ経済運営はどうあるべきか。経済財政諮問
会議では年初来、8人の特別有識者を交え、議論を行った。我が国では、特に過去25年間、常に
デフレとの闘いを政策運営の中心に置かざるを得ない状況が続いてきた。しかし現在、40年ぶり
の物価上昇率や30年ぶりの高い賃上げ、人手不足と世界との人材獲得競争を背景とした労働需
給の逼迫など、デフレ経済は大きく変わりつつある。
世界においても、高インフレと金利引上げというマクロ環境の変化、不確実な国際情勢に伴うサ
プライチェーンの分断リスクと経済安全保障への意識の高まり、グリーン、デジタル、ヘルスケア
など社会課題の解決を経済成長のエンジンとする政策志向の世界的変化、そのために必要な官
民連携した中長期投資へのコミットメントの重要性など、これまで以上に戦略的なポリシーミックス
が求められている。
こうした問題意識の下、特別セッションの議論を踏まえ、我が国が目指すべきマクロ経済運営の
方向性について、以下、提言する。
1.デフレ脱却と民需主導の持続的成長に向けて
まずはデフレ経済に関する潮目の変化を確実に、持続的で安定的なものにしていかなければな
らない。その鍵は構造的な賃金上昇を着実に実現していくことである。このため、


政府と日本銀行は緊密に連携し、賃金上昇を伴う形で、2%の物価安定目標と民需主導の経
済成長が持続的かつ安定的に実現することを目指すべき。



政府においては、まずは、足下で続く輸入物価上昇による外生的な物価上昇から、賃金上昇
やコストの適切な価格転嫁を通じたマークアップの確保を伴う「賃金と物価の安定的な好循環」
を目指すべき。これにより、日本特有の現象であった賃金と物価がともに動かない(凍結され
た)状態を打破し、デフレマインドを払拭することが重要。



このため、中小企業の価格転嫁対策、最低賃金の引上げパスの提示やそのための環境整備、
適切な労働市場改革等を行うべき。



あわせて、政府は、成長力の持続的な向上と家計所得の幅広い増加に裏打ちされた消費や
国内需要の持続的拡大が実現する「成長と分配の好循環」を政策目標とし、賃金・物価の好循
環に持続性を確保すべき。



その実現に向け、生産性向上とイノベーション促進に向けた民間投資を引き出すとともに、人
への投資、GXなど社会課題の解決にも必要ながら過少投資となりやすい分野への官民連携
した計画的な重点投資を推進すべき。
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