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資料1-3 アモキサピン製剤におけるN-ニトロソアモキサピンの検出及び発がん性リスクに関する評価報告書 (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28762.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(令和4年度第14回 10/25)《厚生労働省》
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4. N-ニトロソアモキサピンにおける発がん性のリスク
4-1. N-ニトロソアモキサピンの1日許容摂取量の根拠
N-ニトロソアモキサピンは新規のニトロソアミン類であることを確認しています。細菌を用いた変異
原性試験により代謝活性化系(Phenobarbital-5,6 Benzoflavone誘導ラット肝S9)存在下のSalmonella
typhimurium(TA1535)において変異原性陽性の成績が得られています。また、非臨床がん原性試験等は
実施していないため動物による発がん性の有無は不明です。なお、現時点で、N-ニトロソアモキサピン
が発がん性を有すると仮定した場合の1日許容摂取量(以下、推定ADI)を検討するための直接的なデー
タはありません。そこで、参照化合物として、N-ニトロソアモキサピンと同じ図2に示すニトロソアミン
構造を有し、がん原性試験データが公表されている構造類似化合物として、N-ニトロソピペラジン構造
を含む8種のN-ニトロソアミン類の構造とTD50値を参考にしました。これら8種のN-ニトロソアミン類の
TD50 値は0.140から34.6 mg/kg/dayの範囲でした。この中より最も値が低くかつ信頼性の高い1,2,6trimethyl-4-nitrosopiperazine (CAS 75881-18-4)
(図3)のTD50値(0.153 mg/kg/day)をもとに、推定ADIを
算出することとしました。なお、1-Methyl-4-nitrosopiperazineのTD50値(0.140 mg/kg/day)は、1用量での
がん原性試験で100%の腫瘍発生率が観察されたことに基づいており信頼できるTD50ではないことから、
推定ADI の算出には用いませんでした。
上記の検討を踏まえ、ファイザー社は潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中 DNA 反応性
(変異原性) 不純物の評価及び管理ガイドライン(以下、
「ICH M7 (R1)」とする)に基づき、TD50 値か
ら直接外挿して N-ニトロソアモキサピンの推定 ADI を 153 ng/day と算出しました。
(計算式)
0.153 mg/kg/day ÷ 50,000* × 50 kg(ヒトの体重を 50 kg と仮定) = 0.153 X 10-3 mg/day= 153 ng/day
*:10 万分の 1(すなわち、生涯許容リスクレベル)の確率への直線外挿は、単純に TD50 値を 50,000 で除すことで
実施できる(ICH M7 (R1))

なお、下記に示す参考文献の表 8(Structural Group 10)に、弊社での推定 ADI の算出にあたり、考慮
されたニトロソアミン類、およびその発がん性リスクの概要が示されています。
(参照文献:Krista L. Dobo, et al., Practical and Science-Based Strategy for Establishing Acceptable Intakes for
Drug Product N‑Nitrosamine Impurities, Chem. Res. Toxicol. 2022, 35(3), 475–489)

図 2.関連するニトロソアミン構造

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