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日本病院会資料 (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.nga.gr.jp/committee_pt/committee/hosho/r07/post_980.html |
出典情報 | 全国知事会と医療関連団体との意見交換会(7/9)《全国知事会》 |
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2025年度の日本病院会の取組(基本方針)
日本病院会は国民に適切な病院医療を提供するため次の事項を
政府や国会議員および広く国民に訴えて参ります
一般社団法人日本病院会 会長
1.病院の経営支援が必要
相澤 孝夫
2025 年中の財政出動を要望する
入院医療を提供する病院の経営状況は、医業収益を上回る医業費用の増加が年々加速し、経営の継続が困難な
状況に直面しています。特に、高度な医療や救急医療 を提供し、手術件数も多い 病院は、現在、厳しい経営状況
に追い込まれています。こうした背景には、もともと 診療報酬 * の入院基本料が適切に評価されていないことに
加え、昨今の物価高騰や診療報酬でカバーされず病院の持ち出しとなる医療 材料費の増加、消費税負担の重さな
どが重なり、医業収益を上回る医業費用の増加が加速し、経営の継続が困難となる病院も少なくなく、病院医療
が崩壊しつつある地域もあります。
国民に対し、手術や検査など入院を必要とする病院医療を安定的に提供していくためには、病院経営の安定化
が不可欠であり、そのための財政支援は緊急を 要する 状況にあります。 2025 年中の迅速な財政出動を 強く要 望
いたします。
* 診療報酬:保 険診療に お いて、医 療機関や薬局 が行っ た 医療サー ビ スや調 剤に対 して、患者の 自己負担 分 と公的医療 保険から 支払われ る 給
付 分を合わせ た、公的 に定めら れ た 医療機関や 薬局への 報酬(公 定 価格)
2.診療報酬による入院基本料の引上げを要望する
現行の診療報酬制度における「入院基本料」は、入院時医学管理料・看護料・室料・入院環境料などを統合し、
入院という組織的な医療提供体制を総合的に評価する重要な報酬項目 として 2000 年に創設されました。なかで
も、高度な医療や救急医療を提供し、手術件数も多い病院を対象とした「7 対 1 入院基本料(患者 7 人に対して
看護師 1 人以上を配置している手厚い看護体制に応じた診療報酬)」はその代表的な例ですが、2006 年にこの区
分が設定されて以降、その本体部分は長年にわたり実質的に据え置かれてきました。たしかに、2012 年度には栄
養管理実施加算および褥瘡患者管理加算の包括化に伴い 11 点、2014 年度には消費税率の引き上げ(5%から 8%)
に対応して 25 点、さらに 2020 年度には消費税率の再引き上げ(8%から 10%)に伴い 59 点の増加がありまし
た。しかし、これらは いずれも個別加算の包括化 や消費税対応といった制度 的・ 財政的要因によるもの であ り、
入院基本料本体の評価が純粋に改善されたとは言えません。加えて、2024 年度の診療報酬改定においても、人件
費の改善に限定された引き上げにとどまり、入院基本料本体に対する根本的な評価の見直しには至っていないの
が実情です。このように入院基本料本体に対する評価の見直しがなされない 現状の限定的な対応では、病院が直
面する経費の増加を十分に賄うことはできず、経営の改善には繋がりませんでした。このことは、当会を含む三
病院団体が実施した病院経営定期調査の結果からも明らか です。
現行の入院基本料水準では、医療職の確保・教育・処遇改善、さらには施設・設備・医療機器の維持更新 等に
必要な財源が確保できず、地域における持続可能な医療提供体制の維持が困難となっています。
一方、診療報酬制度は年々複雑化し、加算取得のための厳格な配置基準や文書作成義務が現場に過重な負担を
もたらしています。こうした状況を踏まえ、制度の簡素化と、病院医療の実態と役割を的確に評価する報酬体系
への見直しが急務です。
また、診療報酬は公定価格である以上、他の公共料金と同様、安定的な医療提供の維持という観点から必要な
改定が行われるべきです。例えば、2024 年 10 月には郵便はがきが「今後とも、郵便サービスの安定的な提供を
維持していくため」として 34.9%の値上げが行われ ているように、公定価格である入院基本料 も他の 公共料 金
と同様の引上げが必要です。
さらに、将来にわたり持続可能な入院医療体制を確保するためには、国民的な理解と議論を前提としつつ、制
度のあり方について受益者負担も含めた中長期的な検討が必要です。
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日本病院会は国民に適切な病院医療を提供するため次の事項を
政府や国会議員および広く国民に訴えて参ります
一般社団法人日本病院会 会長
1.病院の経営支援が必要
相澤 孝夫
2025 年中の財政出動を要望する
入院医療を提供する病院の経営状況は、医業収益を上回る医業費用の増加が年々加速し、経営の継続が困難な
状況に直面しています。特に、高度な医療や救急医療 を提供し、手術件数も多い 病院は、現在、厳しい経営状況
に追い込まれています。こうした背景には、もともと 診療報酬 * の入院基本料が適切に評価されていないことに
加え、昨今の物価高騰や診療報酬でカバーされず病院の持ち出しとなる医療 材料費の増加、消費税負担の重さな
どが重なり、医業収益を上回る医業費用の増加が加速し、経営の継続が困難となる病院も少なくなく、病院医療
が崩壊しつつある地域もあります。
国民に対し、手術や検査など入院を必要とする病院医療を安定的に提供していくためには、病院経営の安定化
が不可欠であり、そのための財政支援は緊急を 要する 状況にあります。 2025 年中の迅速な財政出動を 強く要 望
いたします。
* 診療報酬:保 険診療に お いて、医 療機関や薬局 が行っ た 医療サー ビ スや調 剤に対 して、患者の 自己負担 分 と公的医療 保険から 支払われ る 給
付 分を合わせ た、公的 に定めら れ た 医療機関や 薬局への 報酬(公 定 価格)
2.診療報酬による入院基本料の引上げを要望する
現行の診療報酬制度における「入院基本料」は、入院時医学管理料・看護料・室料・入院環境料などを統合し、
入院という組織的な医療提供体制を総合的に評価する重要な報酬項目 として 2000 年に創設されました。なかで
も、高度な医療や救急医療を提供し、手術件数も多い病院を対象とした「7 対 1 入院基本料(患者 7 人に対して
看護師 1 人以上を配置している手厚い看護体制に応じた診療報酬)」はその代表的な例ですが、2006 年にこの区
分が設定されて以降、その本体部分は長年にわたり実質的に据え置かれてきました。たしかに、2012 年度には栄
養管理実施加算および褥瘡患者管理加算の包括化に伴い 11 点、2014 年度には消費税率の引き上げ(5%から 8%)
に対応して 25 点、さらに 2020 年度には消費税率の再引き上げ(8%から 10%)に伴い 59 点の増加がありまし
た。しかし、これらは いずれも個別加算の包括化 や消費税対応といった制度 的・ 財政的要因によるもの であ り、
入院基本料本体の評価が純粋に改善されたとは言えません。加えて、2024 年度の診療報酬改定においても、人件
費の改善に限定された引き上げにとどまり、入院基本料本体に対する根本的な評価の見直しには至っていないの
が実情です。このように入院基本料本体に対する評価の見直しがなされない 現状の限定的な対応では、病院が直
面する経費の増加を十分に賄うことはできず、経営の改善には繋がりませんでした。このことは、当会を含む三
病院団体が実施した病院経営定期調査の結果からも明らか です。
現行の入院基本料水準では、医療職の確保・教育・処遇改善、さらには施設・設備・医療機器の維持更新 等に
必要な財源が確保できず、地域における持続可能な医療提供体制の維持が困難となっています。
一方、診療報酬制度は年々複雑化し、加算取得のための厳格な配置基準や文書作成義務が現場に過重な負担を
もたらしています。こうした状況を踏まえ、制度の簡素化と、病院医療の実態と役割を的確に評価する報酬体系
への見直しが急務です。
また、診療報酬は公定価格である以上、他の公共料金と同様、安定的な医療提供の維持という観点から必要な
改定が行われるべきです。例えば、2024 年 10 月には郵便はがきが「今後とも、郵便サービスの安定的な提供を
維持していくため」として 34.9%の値上げが行われ ているように、公定価格である入院基本料 も他の 公共料 金
と同様の引上げが必要です。
さらに、将来にわたり持続可能な入院医療体制を確保するためには、国民的な理解と議論を前提としつつ、制
度のあり方について受益者負担も含めた中長期的な検討が必要です。
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