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事例4 軟骨伝導イヤホン ~誰もが利用しやすい窓口へ~ (1 ページ)
出典
公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/zenbun/07pdf_index.html |
出典情報 | 令和7年版高齢社会白書(6/10)《内閣府》 |
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CS
軟骨伝導イヤホン
高齢化の状況
事例4
第1章
!
T
I
OP
ト ピ ッ ク ス
~誰もが利用しやすい窓口へ~
事業の目的・概要
自治体や金融機関等の窓口に、老眼鏡は設置されているが難聴者のためのものは何もないという問題意識
から「窓口用軟骨伝導イヤホン」は生まれた。耳の軟骨を振動させて音声を伝える「軟骨伝導」という、こ
れまでの「気導」、「骨伝導」に次ぐ第3の経路の発見により開発されたもので、軽度から中程度の難聴のあ
る方には音声がクリアに聴こえ、手入れもしやすいため、プライバシーへの配慮が必要な窓口で対応がしや
すいということで全国に広がっている。また、その導入には、信用金庫の全国的なネットワークも活用され
ている。
軟骨 伝導 イヤホンの特 徴
軟骨伝導イヤホンの特徴
具体的な取組内容
軟骨伝導の仕組みは、平成 16 年に奈良県立医科大学の細井
裕司氏により発見された。その仕組みを基に令和5年に開発さ
くう
全に清拭でき衛生的であり、また装着時に骨を圧迫しないので
痛みもないなどの利点を有している。さらに、音声がクリアで
あるとともにイヤホンを装着している本人にしか聞こえないた
め、聴こえに支障のある高齢者等に大きな声で対応する必要も
ないことから、窓口での対話で個人の情報を扱う自治体や金融
機関等で導入する団体が増えており、令和6年末時点で、全国
449 機関(団体)1,879 か所の窓口で設置されている。
導入に当たっては、奈良県立医科大学と包括連携協定を結ぶ
「よい仕事おこしフェア実行委員会」(以下、「実行委員会」とい
う。
)とのつながりがきっかけというケースも多い。この実行委
①耳
清の
潔病
か気
、耳
②
の垢
原貯
因留か
②耳
耳の
のつ
病ま
気り
の感
原因
③
③周
耳囲
のの
つま
④
音り
が感
聞けるか
④食
周事
囲時
の音が聞けるか
⑤
⑤水
食中
事で
時の聴取
⑥
⑥耳
水ツ
中ボ
で刺
の激
聴効
取果
⑦
⑦耳裏
ツボ
激音
効入
果力
⑧
か刺
らの
(⑧
メガ
ネ
型
な
ど
)
耳裏からの音入力
(メガネ型など)
⑨審美性(形)
⑨審美性(形)
軟骨伝導
軟
骨伝導
清潔・完全清拭
清潔・完全清拭
病気なし
病気なし
なし
第3節 〈特集①〉高齢者の経済生活をめぐる動向について
れた軟骨伝導イヤホンは、耳穴に挿入せず耳甲介腔・耳珠・耳
介裏に装着するもので、イヤホンに穴や凹凸もないことから完
項目
項
目
①清潔か、耳垢貯留か
なし
聞ける
聞ける
咀嚼音響かない
咀嚼音響かない
クリアに聞ける
クリアに聞ける
あり
あり
可能
可能
自由
(穴、凹凸のない完全球形
自由
やディスク型など)
(穴、凹凸のない完全球形 1
やディスク型など)
1
員会は全国の信用金庫で構成されており、そのネットワークを通じて軟骨伝導イヤホンが信用金庫に設置され始め、同じ
地域の自治体窓口に設置されたところもある。信用金庫から銀行といった金融機関における設置の広がりだけでなく、自
治体における設置の広がりも増えている。
軟骨伝導の仕組みを発見した奈良県立医科大学のある奈良県では、令和5年5月に奈良中央信用金庫が、同年6月には
奈良中央信用金庫開催のデモンストレーションに参加した田原本町役場が軟骨伝導イヤホンを設置した。
事業効果
窓口に軟骨伝導イヤホンを設置している田原本町では、障害者手帳を持つ
までに至らない中程度までの方からは音声がクリアに聴こえる、補聴器より
も扱いやすいといった声も寄せられている。以前は聴こえに支障のある高齢
者等に対応する際には普段より大きな声で対応したり、筆談したりする必要
のあった窓口業務も、導入後は聴こえに支障のない方と同程度の声で対応で
きるようになった。また、窓口に設置するだけでなく、高齢者宅を訪問する
際に職員が持参し使用することもある。
今後の展開
難聴は、生活や社会参加の範囲を狭め、フレイルや認知症等のリスクを高める要因にもなり得るなど、高齢期の生活に
及ぼす影響も大きいため、本事例のように難聴の方も生活しやすい環境を整備していくことが、ますます求められている。
今後は、医療機関等の窓口への設置促進や、韓国世宗特別自治市の窓口に設置された事例もあるように日本だけでなく世
界へも導入を広げ、「難聴者が窓口で困らない社会」を目指していくこととしている。
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軟骨伝導イヤホン
高齢化の状況
事例4
第1章
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ト ピ ッ ク ス
~誰もが利用しやすい窓口へ~
事業の目的・概要
自治体や金融機関等の窓口に、老眼鏡は設置されているが難聴者のためのものは何もないという問題意識
から「窓口用軟骨伝導イヤホン」は生まれた。耳の軟骨を振動させて音声を伝える「軟骨伝導」という、こ
れまでの「気導」、「骨伝導」に次ぐ第3の経路の発見により開発されたもので、軽度から中程度の難聴のあ
る方には音声がクリアに聴こえ、手入れもしやすいため、プライバシーへの配慮が必要な窓口で対応がしや
すいということで全国に広がっている。また、その導入には、信用金庫の全国的なネットワークも活用され
ている。
軟骨 伝導 イヤホンの特 徴
軟骨伝導イヤホンの特徴
具体的な取組内容
軟骨伝導の仕組みは、平成 16 年に奈良県立医科大学の細井
裕司氏により発見された。その仕組みを基に令和5年に開発さ
くう
全に清拭でき衛生的であり、また装着時に骨を圧迫しないので
痛みもないなどの利点を有している。さらに、音声がクリアで
あるとともにイヤホンを装着している本人にしか聞こえないた
め、聴こえに支障のある高齢者等に大きな声で対応する必要も
ないことから、窓口での対話で個人の情報を扱う自治体や金融
機関等で導入する団体が増えており、令和6年末時点で、全国
449 機関(団体)1,879 か所の窓口で設置されている。
導入に当たっては、奈良県立医科大学と包括連携協定を結ぶ
「よい仕事おこしフェア実行委員会」(以下、「実行委員会」とい
う。
)とのつながりがきっかけというケースも多い。この実行委
①耳
清の
潔病
か気
、耳
②
の垢
原貯
因留か
②耳
耳の
のつ
病ま
気り
の感
原因
③
③周
耳囲
のの
つま
④
音り
が感
聞けるか
④食
周事
囲時
の音が聞けるか
⑤
⑤水
食中
事で
時の聴取
⑥
⑥耳
水ツ
中ボ
で刺
の激
聴効
取果
⑦
⑦耳裏
ツボ
激音
効入
果力
⑧
か刺
らの
(⑧
メガ
ネ
型
な
ど
)
耳裏からの音入力
(メガネ型など)
⑨審美性(形)
⑨審美性(形)
軟骨伝導
軟
骨伝導
清潔・完全清拭
清潔・完全清拭
病気なし
病気なし
なし
第3節 〈特集①〉高齢者の経済生活をめぐる動向について
れた軟骨伝導イヤホンは、耳穴に挿入せず耳甲介腔・耳珠・耳
介裏に装着するもので、イヤホンに穴や凹凸もないことから完
項目
項
目
①清潔か、耳垢貯留か
なし
聞ける
聞ける
咀嚼音響かない
咀嚼音響かない
クリアに聞ける
クリアに聞ける
あり
あり
可能
可能
自由
(穴、凹凸のない完全球形
自由
やディスク型など)
(穴、凹凸のない完全球形 1
やディスク型など)
1
員会は全国の信用金庫で構成されており、そのネットワークを通じて軟骨伝導イヤホンが信用金庫に設置され始め、同じ
地域の自治体窓口に設置されたところもある。信用金庫から銀行といった金融機関における設置の広がりだけでなく、自
治体における設置の広がりも増えている。
軟骨伝導の仕組みを発見した奈良県立医科大学のある奈良県では、令和5年5月に奈良中央信用金庫が、同年6月には
奈良中央信用金庫開催のデモンストレーションに参加した田原本町役場が軟骨伝導イヤホンを設置した。
事業効果
窓口に軟骨伝導イヤホンを設置している田原本町では、障害者手帳を持つ
までに至らない中程度までの方からは音声がクリアに聴こえる、補聴器より
も扱いやすいといった声も寄せられている。以前は聴こえに支障のある高齢
者等に対応する際には普段より大きな声で対応したり、筆談したりする必要
のあった窓口業務も、導入後は聴こえに支障のない方と同程度の声で対応で
きるようになった。また、窓口に設置するだけでなく、高齢者宅を訪問する
際に職員が持参し使用することもある。
今後の展開
難聴は、生活や社会参加の範囲を狭め、フレイルや認知症等のリスクを高める要因にもなり得るなど、高齢期の生活に
及ぼす影響も大きいため、本事例のように難聴の方も生活しやすい環境を整備していくことが、ますます求められている。
今後は、医療機関等の窓口への設置促進や、韓国世宗特別自治市の窓口に設置された事例もあるように日本だけでなく世
界へも導入を広げ、「難聴者が窓口で困らない社会」を目指していくこととしている。
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