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【第3節】〈特集②〉新たな高齢社会対策大綱の策定について (2 ページ)

公開元URL https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/gaiyou/07pdf_indexg.html
出典情報 令和7年版高齢社会白書(6/10)《内閣府》
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図 18

高齢社会対策大綱(令和6年9月 13 日閣議決定)
(概要)
【概要】⾼齢社会対策⼤綱(令和6年9⽉13日閣議決定)

目的及び基本的考え方

1.⼤綱策定の目的
○「高齢社会対策」は、高齢者を支えるための取組だけでなく、⾼齢者の割合が⼤きくなる中で持続可能な社会を築いていくための取組。
○我が国は世界に類を⾒ないほどのスピードで高齢化が進み、今後更に進展(高齢化率︓29.1%(2023年)⇒38.7%(2070年))。人口構成や社会構造の変化に伴い、
経済社会の担い⼿の不⾜(⽣産年齢人口は2040年までに約1,200万人減少)、経済規模の縮小のほか、一人暮らしの高齢者の増加等のライフスタイルの変化や認知
機能が低下する人の増加等に伴う様々な影響や課題が懸念。
○一方、我が国の平均寿命は世界で最も高い水準となり、高齢者の体⼒的な若返りも指摘。65歳以上の就業者は増加し続け、意欲も高い。
⇒年齢によって分け隔てられることなく、若年世代から⾼齢世代までの全ての⼈が、それぞれの状況に応じて「⽀える側」にも「⽀えられる側」に
もなれる社会を目指し、全世代の⼈々が「超⾼齢社会」を構成する一員として、希望が持てる未来を切り拓いていくことが必要。
2.基本的考え方
(1)年齢に関わりなく希望に応じて活躍し続けられる経済社会の構築
(2)一⼈暮らしの⾼齢者の増加等の環境変化に適切に対応し、多世代が共に安⼼して暮らせる社会の構築
(3)加齢に伴う身体機能・認知機能の変化に対応したきめ細かな施策展開・社会システムの構築

生涯を通じて活躍できる環境の整備

1.年齢に関わらない活動機会の拡⼤
<背景>

<⼤綱に盛り込む基本的施策>

○自己啓発を実施した労働者の割合は、20代以上では年齢層が⾼くな
るほど低く、「60代以上」は約2割。

○⾼齢期を⾒据えたスキルアップやリ・スキリングの推進〈就業・所得〉

○現在収入のある仕事をしている60歳以上の人について、「働ける
うちはいつまでも」との回答が約4割、「70歳くらいまで」又はそれ
以上まで働き続けたいとの回答を合計すると約9割に上る。
○⾏政が⼒を入れるべき⽣涯学習の取組について、40代・50代では
「インターネットを利用したオンライン学習の充実」が約5割、60代
以上では「公⺠館等の開放などの学習のための施設の増加」が約4割
でそれぞれ最多。
○地域における社会参加活動を進めるために有効だと思う施策につい
て、約4割が「簡単に社会参加活動に参加できる仕組み」、約3割が
「実施されている社会参加活動内容の周知・広報」と回答。

○企業等における経験やスキルに基づく配置、成果に基づく評価・処遇
等に関する専門家の助言等の雇用の質の向上のための環境整備〈就業・
所得〉
○起業支援や高齢期のニーズに応じたハローワークのマッチング強化等
の多様な就業等の機会の提供〈就業・所得〉
○多様な主体の連携により地域社会の課題解決に取り組むためのプラッ
トフォームの構築、地域の仕事や活動等を各人の都合に合わせてモザイ
ク型のジョブマッチングを⾏う仕組みの構築による地域社会の担い手確
保〈学習・社会参加〉
○⽼人福祉センター等の地域の身近な場やオンラインにおける学習機会
の充実〈学習・社会参加〉 等

2.⾼齢社会に関するあらゆる世代の理解の促進

<⼤綱に盛り込む基本的施策>

<背景>

○幅広い世代における加齢に関する理解の促進〈学習・社会参加〉

○インターネット利用率は年齢層が⾼くなるほど低い。
(60代:90.2%、70代:67.0%、80歳以上:36.4%)

○携帯ショップや公⺠館等における講習会の実施等、デジタル等のテク
ノロジーに関する学びの充実による⾼齢期のデジタル・デバイドの解消
〈学習・社会参加〉

○20代の73.5%が、社会保障制度に「全く関⼼がない」「あまり関
⼼はない」と回答。また、学校等で⾦融教育を受けた経験がある人の
割合は、18〜29歳では13.9%、60〜79歳では5.4%に留まる。

一⼈暮らしの⾼齢者の増加等に対応できる環境の整備
<背景>
○医療・介護の複合ニーズが高まる85歳以上⼈口は増加を続け、
2060年には約1,170万⼈となる⾒込み。(2023年︓約670万人)
○2040年度までに更に57万⼈の介護職員の確保が必要と⾒込まれ
る。
○介護離職者数は年間約10万⼈で推移。2030年の介護離職等によ
る経済損失額は約9.2兆円。
○65歳以上の一⼈暮らしの人の数は、2040年には2020年より
370万⼈増加し、約1,041万⼈となる⾒込み。
○近年持家率は20〜50代で低下傾向。高齢者の一人暮らしが増加
する中、高齢期の住宅の確保に対するニーズは高まる。一方、⾼齢
者の入居については、賃貸⼈の約7割が拒否感。住み替えのピーク
は75〜85歳と遅く消極的な住み替えも。
○使用目的のない空き家は、この20年間で1.8倍の385万⼾に増加。
○60代以上の⽼後生活の不安として「移動が困難」と回答の割合
は、人口規模の少ない市町村ほど多く、⼈口5万⼈未満では7割弱。

身体機能・認知機能の変化に配慮した環境の整備
<背景>
○65歳以上の認知症及びMCI(軽度認知障害)の人の数は今後増加
し、2040年にはそれぞれ584.2万⼈(有病率14.9%)、612.8万
⼈(有病率15.6%)となる⾒込み。(2022年︓認知症 443.2万人(有
病率12.3%)、MCI 558.5万人(有病率15.5%))

○特殊詐欺の被害者の約8割が65歳以上。
○75歳以上の運転者による死亡事故件数は最近増加傾向にあり、
2023年は384件の死亡事故が発⽣。
○バリアフリー化やユニバーサルデザイン化の進捗状況について、
「十分進んだ」又は「まあまあ進んだ」と回答した⼈は、60代・
70代で3割程度にとどまっている。
○市町村における避難⾏動要支援者の個別避難計画について、未着
手が全体の約8%であるなど地域差がある。

今後の⾼齢社会対策の推進に当たって

○早い段階からの社会保障教育・ライフステージに応じた⾦融経済教育
の推進〈学習・社会参加〉 等

<⼤綱に盛り込む基本的施策>
○在宅医療や在宅介護の質・量両⾯での充実を含めた地域包括ケアシステ
ムの構築の一層の推進〈健康・福祉〉
○処遇改善や介護の仕事の魅⼒向上等を通じた介護⼈材の確保の推進〈健
康・福祉〉
○介護ロボットやICT機器等テクノロジーを活用した介護現場の生産性向
上〈健康・福祉〉
○仕事と介護を両⽴できる雇用環境の整備等の推進〈健康・福祉〉
○⾼齢者等終身サポート事業者の適正な事業運営の確保や地域の社会資源
を組み合わせた包括的⽀援のコーディネート等の身寄りのない⾼齢者等の
⽀援の充実〈健康・福祉〉
○住宅、福祉等の関係者が連携した地域における総合的・包括的な居住⽀
援体制の整備等を通じた居住⽀援の充実〈⽣活環境〉
○空き家の有効活用等の空き家対策の推進〈⽣活環境〉
○地域公共交通の「リ・デザイン」の加速化や自動運転技術の社会実装に
向けた取組の推進等による地域における移動手段の確保〈⽣活環境〉
○⾼齢社会の課題解決に資するAI技術の研究開発の促進〈研究開発等〉等
<⼤綱に盛り込む基本的施策>
○認知症基本法に基づく、認知症の理解の増進や早期発⾒・対応のための
関係機関間の連携強化等の施策の総合的かつ計画的な推進〈健康・福祉〉
○加齢による難聴等の早期スクリーニングや定期的ケア、地域や職場の理
解促進、感覚を拡張・代替するテクノロジーの活用等による身体機能・認
知機能の状態に関わらず生活しやすい環境整備〈健康・福祉〉
○個⼈情報を円滑に共有し得る枠組み(消費者安全確保地域協議会等)へ
の⾦融機関の参加の促進による必要な支援につなぐ取組の推進等、⾦融経
済活動における認知機能の低下した⼈への⽀援強化〈⽣活環境〉
○地域協議会の設置促進や消費生活相談のDX等の相談体制の充実による
消費者被害の防止〈⽣活環境〉
○運転免許証の自主返納をしやすい環境整備やサポートカー限定免許の推
奨等の認知機能の変化に応じた交通安全対策の推進〈⽣活環境〉
○情報アクセシビリティや建築物等のバリアフリー化の推進〈⽣活環境〉
○⾼齢期の特性に配慮した防災・防犯対策の推進〈⽣活環境〉


○関係⾏政機関の間の緊密な連携・協⼒、施策相互間の⼗分な調整、各分野における数値目標及び参照指標の設定
○施策の推進状況の検証・評価を踏まえ、必要な改善を⾏うための仕組みの構築
○地域の企業・団体やNPO等の多様な主体との連携等により、地方公共団体における地域の特性を活かした施策の展開を後押し

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