資料 2：要旨
2025 年 6 月 10 日
令和国民会議（令和臨調）
持続的な社会の発展のための財政規律【要旨】
問題意識：求められる財政規律
GDP の 240％に近い公的債務の負担を次世代に先送りすることは、将来世代の政策の
選択肢を狭め、選択の自由という民主主義の基礎を損ないます。また、地政学リスク
や大規模な自然災害といった有事への対応にも財政余力が必要です。日本の経済が長
く続いたデフレ状態を脱し、新たな局面を迎えている今こそ、デフレ下、ゼロ金利下
における財政の「常識」を見直し、規律ある財政運営の確立に取り組むべきです。
１．2026 年度以降の長期の「財政健全化目標」の設定
現在の「債務残高対 GDP 比率（以下「債務残高比率」）の安定的な引き下げ」と「基
礎的財政収支(PB)の黒字化」に代えて下記①②を設定すべきです。
① 債務残高比率の具体的な引き下げ幅と時間軸：
有事に備え一定の基準を設けて平時において財政上のバッファーを創出。例えば、
10 年以内に 25～30％引き下げることにより債務格付の引上げも展望。
② PB の一定水準の基調的な黒字化：

①の目標を達成するために必要な黒字水準を GDP 対比等で設定。外的ショックに
対応するための財政出動に伴う一時的な PB の赤字は許容されるべきだが、終息後
には正常化し基調的な黒字を維持。
２．中期の財政フレームワークの導入
複数年度にわたる戦略的な予算配分／施策の優先順位を明確化するとともに、補正
予算や基金の膨張による予算の枠組みの形骸化に対処するため「中期財政フレーム」
の導入を提案します。
① 戦略的な政策目標に基づく 3 年間程度の「中期財政フレーム」を作成し分野ごと
に歳出総額（当初予算・補正予算の合計）を設定。
② 政策目標の達成について毎年進捗を検証し、達成度が低いものについては、期間
中でも廃止・縮減。
③ 期間中、巨大地震・パンデミック・深刻な景気後退などの緊急事態に対応する場
合を除き、原則として歳出総額の改訂は行わない。
３．毎年度の予算編成時の歳出ルールの設定
2025 年度以降について、歳出改革方針を具体的に示すとともに、以下の歳出ルール
並びにルールを遵守するための制度を導入すべきです。
A．支出や減税を行う際には財源も確保する（ペイ・アズ・ユー・ゴー原則）。
B．中期財政フレームを遵守できない場合は、原則、翌年度に是正措置を実施。
以上