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令和6年第3回経済財政諮問会議 資料3「新たなステージ」に向けた経済運営~日本経済の成長力強化に向けて~(有識者議員提出資料) (1 ページ)

公開元URL https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0402/shiryo_03.pdf
出典情報 経済財政諮問会議(令和6年第3回 4/2)《内閣府》
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資料3

「新たなステージ」に向けた経済運営
~日本経済の成長力強化に向けて~
2024年4月2日
十倉 雅和
中空 麻奈
新浪 剛史
柳川 範之
今春の賃上げは5%を超え1、名目成長率・投資・雇用に関する企業の中期(3年後の)見通
しはいずれも過去最高を更新し、予想物価上昇率も高まりつつある。日本銀行はマイナス金
利を解除する等、金融政策は一つの区切りを迎え、新しい段階に入った。
今こそ、民需主導の経済成長を実現させる好機である。下請け構造が重層的な産業をはじ
め、価格転嫁を強力に促し、来年以降の賃上げ環境を整えるとともに、民間投資を拡大させ、
日本経済への「期待」を確実に「現実」のものとすべき時である。そのような「新たなステージ」
に向けた経済運営について、以下提言する。
1.機動的な経済運営
 長年にわたって、概ね0で「凍っていた」物価・賃金・金利等が、とうとう動き出した。こう
した新たな経済環境において、2%の物価安定目標の下で持続的な経済成長が実現
するよう、政府・日銀の連携が引き続き求められる。
 その際、消費・投資・GDP等の需要動向、雇用・賃金等の所得環境、CPI等の物価動向、
長短の金利動向など経済動向の丹念な分析が重要であり、これに応じた機動的な経
済運営が求められる。
2.生産性向上による持続的・構造的な賃上げと成長力強化
 これまで「賃金も物価も上がらない」ことが当たり前になっていたが、「賃金も物価も上が
る」という前向きな意識を定着させ、経済活性化につなげることが求められている。
 そのためには、生産性を引上げて成長力を強化することが必要不可欠であり、
 生産性が高い分野に対する、計画的かつ集中的な設備・研究開発投資
 リスキリング等による、生産性の高い仕事へのキャリアアップ、労働移動円滑化、正規化
 デジタルの徹底活用、省人化投資等による業務の効率化
などが民需主導で行われるよう、制度整備、規制改革の取組を強化すべき。
 以上の取組を通じた持続的・構造的な賃上げによって「賃金と物価の好循環」を力強く
回していくべき。その際、賃上げにおいて物価上昇と生産性の変化を加味することが重
要。
 今後、物価・賃金動向の詳細なモニタリングが必要。例えば、性別・年齢別・産業別・雇
用形態別の賃金動向、リスキリングや労働移動による賃金上昇効果を分析すべき。
3. 財政健全化
 共同声明において「政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認
を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」
とされており、経済が動き出した今こそ、改めて、政府は財政の持続性の確保に、真摯
に取り組む必要がある。「金利のある世界」への移行を見据え、財政健全化に向けた取
組を推進すべき。

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日本労働組合総連合会「2024 春季生活闘争 第2回回答集計結果」(2024 年3月 22 日)に基づく。