中央社会保険医療協議会は9月27日に開催された、診療報酬基本問題小委員会と総会で、入院医療等の調査・評価分科会の中間とりまとめについて報告を受けた。中間とりまとめには、「重症度、医療・看護必要度」とDPCデータの相関を検証することが盛り込まれたが、日本看護協会の専門委員は、現場の混乱を避ける観点から2018年度改定での大幅な見直しは行わないよう、改めて要請した。
分科会の中間とりまとめは、重症度、医療・看護必要度の評価項目と関連性の高い診療報酬請求区分(【データ提出加算】で提出が求められるDPCデータ)の項目では、「一定程度重なる部分がある」とし、複数の診療報酬請求区分の項目を組み合わせるなどの調整・工夫をして両者を対応させた上で、重症度、医療・看護必要度と診療報酬請求区分それぞれで該当患者割合を算出し、分布状況や相関を検証する方針が打ち出されている
(参照)。
分科会の病院関係の委員や、病院関係団体の多くは、急性期病棟にどのような状態の患者が入院しているかを明らかにし、状態像に合った報酬設定を行う必要があるという点では認識が一致しており、将来的なDPCデータへの置き換えに前向きな姿勢を示しているものの、重症度、医療・看護必要度は2016年度改定でC項目が追加され、見直し当初の現場の混乱がようやく落ち着いたところだけに、連続での見直しは避けたいとの思いが強い。日本病院会、全日本病院協会など14の病院団体で組織する日本病院団体協議会は、仮に2018年度改定でDPCデータによる測定を導入することになった場合も、重症度、医療・看護必要度による測定方法も残し、病院が選択できる余地を残すことを提案している。
この日の基本問題小委でも、菊池令子専門委員(日本看護協会副会長)が、業務の効率化や負担軽減の視点から検討を進めることについては理解を示したが、「重症度、医療・看護必要度では該当であった患者がDPCに置き換えた結果、非該当になれば必要な看護が過小評価される可能性がある」と懸念。「現場の混乱を避けるため、2018年度改定での拙速な改定は避け、中長期的な検討を行うべき」と訴えた。
◆基準非該当患者の詳細分析を求める意見も
また幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、【7対1一般病棟入院基本料】算定病棟に入院する重症度、医療・看護必要度の基準非該当患者のうち、A項目(モニタリングや処置など)・B項目(ADL)とも0点の患者が4割弱いることなどに言及。「これが果たして急性期病棟にいるのがふさわしい患者と言えるのか」と問題提起し、非該当患者のさらに掘り下げた分析の実施を求めた
(参照)。これに対して松本純一委員(日本医師会常任理事)は、「急性期といえども、術後1日目、退院直前、手術前など、いろいろな患者がおり、その中で該当患者が25%以上いるということだ。確かに(非該当患者の)分析は必要だが、そういう患者がいることを理解していただきたい」と反論した。
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